大会での日本スケート勢の好成績に、東京オリンピック(五輪)に続いてパリ五輪の指揮をとる日本代表の西川隆監督も喜んだ。

女子パークと男子ストリートでのメダル独占など東京五輪以上の活躍。新型コロナ禍で国際大会がなかったが「相変わらずの強さだった」と目を細めた。

西川監督を最も喜ばせたのが、男子パークの永原悠路(16)の躍進。初出場の大舞台で4位に入ったことを「悠路の頑張りは大きい。本当によかった」と話した。

世界のトップを君臨する女子パーク、米国、ブラジルなどと世界のトップを争う男女ストリートに比べて、男子パークは世界との差が大きい。東京五輪も3人枠いっぱいを争った他の3種目に対して、代表はスノーボードとの二刀流の平野歩夢1人だけ。レベルとともに層も薄かった。

平野をはじめ、パークの第一人者である笹岡健介(23)ら日本勢の技術は決して低くない。もともとバート(ハーフパイプのコースを往復しながら技を競う)で練習する選手が多く、高難度のトリックもこなせる。

ただ、日本にはパークのコースが少ないために経験が必要なライン取りなどに苦労した。世界の選手層が薄い女子はすぐにトップに立てたが、米国などの層が圧倒的な男子は苦労してきた。

永原の活躍で、男子パークも世界への扉が大きく開かれる可能性が出てきた。「この結果で、国際大会に出られる道ができる」と西川監督。堀米や西村、四十住らと同じように、国際大会に「日本選手枠」でなく「招待枠」で出られるかもしれないというわけだ。

西川監督はパリ五輪に向けて「男子パークの底上げ」を掲げる。五輪出場枠を争うポイント付与大会は23年度から本格化する。そこに予選免除で出られれば、パリ五輪も一気に近づく。

東京五輪の出場を目指しながら及ばなかった永原だけに、パリへの思いは強い。「スケボーは五輪がすべてではない」と言われるが、永原は「出たいです」と即答。この大会で「自信がついた」という16歳を、西川監督も頼もしげに見つめていた。【荻島弘一】