<バドミントン:ジャパン・オープン(OP)>◇最終日◇30日◇東京・国立代々木競技場◇混合ダブルス決勝
21年東京オリンピック(五輪)混合ダブルス銅メダルの“ワタガシペア”こと東野有紗(26)渡辺勇大(26)組(BIPROGY)が初優勝を飾った。
世界ランキング2位の2人は、17-21、21-16、21-15で逆転勝利。昨年のジャパンOP決勝で敗れたS・タエラッタナチャイ、D・プアバラヌクロ組(タイ)にリベンジを果たし、東野はコートに倒れ込みながら喜んだ。1982年から始まった同大会の同種目では日本勢初Vの快挙。渡辺は「試合前に『歴史をつくるぞ』という気持ちでコーチに入った。去年負けているので再挑戦のつもりで思い切って、最後まで諦めずにプレーした結果」とかみしめた。
磨いてきたコミュニケーションが、逆転の駆動源となった。第1ゲーム(G)は14-8とリードしながら、7連続失点で逆転された。その中でも「お互いの役割を果たそう」と声をかけ合った。
第2Gからは前衛の東野が前へ出て、相手前衛に攻撃。後衛の渡辺は緩急を交えたショットで、攻撃のタイミングをズラした。このゲームを奪うと、第3Gでも中盤で突き放した。
プレーの合間には「前だけお願い」「後ろきたら我慢するね」と短い言葉を重ね合った。「シンプルなところですけど、常に声をかけ合うことが、お互いの体力を削ってでも大事になっなる」と渡辺。東野も「コミュニケーションをとりながら、お互いの仕事ができたのが勝因」と控えめに胸を張った。
2人は福島・富岡第一中時代からペアを組む。今年で結成12年目。1歳年上の東野は「勇大くん」、後輩の渡辺は「先輩」と互いを呼び合う。紡いできた時間が今、コミュニケーションの成熟度を深めている。渡辺はふっと笑いつつ、締まった口調で言う。
「僕の表情や態度に対して、いち早く反応してくれて、カバーしてくれるのが先輩。先輩がいてくれるからこそ感情を出すこともできるし、出してから自分をコントロールできる」
隣で汗を拭っていた東野は、静かな声に実感を込める。
「自分の中では勇大くんが声をかけてくれるから、『もう1回頑張ろう』と思えるし、本当に1個下なのかな? と思える存在。いつも真っ先に声をかけてくれるのでありがたいです」
その2人の視線は、1年後に迫るパリ五輪へと向く。来年4月末までの選考レースで、対象となる30大会以上で上位に食い込み続ける必要があるが、強く意識はしていない。東野の「1大会1大会を大事に」という言葉に同調しながら、渡辺は泰然と言い切る。
「そこ(パリ五輪)がゴールじゃなくて、スタートという可能性もある。通過点という言い方をしたら誤解がありますが、僕らにとってはどれも大事な大会だと思う」
1つ1つの試合が、次へのスタート。この優勝も、これからの糧とする。


