男子W杯バレーが30日に東京・代々木第1体育館で幕を開ける。パリ五輪予選として開催される今大会。7月まで行われたネーションズリーグ(VNL)で銅メダルを獲得した日本代表(世界ランキング5位)は、開幕戦でフィンランド(同28位)と対する。女子代表が惜しくも逃した五輪本番前年の出場権獲得へ-。そのキーマンを「龍神の爪」と題して紹介する。

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数々の大舞台を踏んできたセッター関田誠大(29=ジェイテクト)がタクトを振る。16年に初めて代表入り。ここまで4位となった19年W杯や8強入りした21年東京五輪などのコートに立った。今季のVNLでも世界屈指のトスワークで銅メダルに大きく貢献。29歳で迎えるW杯バレーを「自分としても集大成になってくる」と位置付け、不退転の決意で臨む。

VNLで275得点を挙げてベストスコアラーに輝いた石川をはじめとする強力なアタッカー陣を巧みに操る。土台は入念な準備。相手チームを分析し、試合後にはブラン監督とのフィードバックを欠かさない。勝利しても決して満足しない姿は、まさに「完璧主義者」。指揮官や周囲からもそう評されるが、「みんなそうでしょ? うまくなりたいとか結果が出したいなら、必然的にそうなる」と、淡々と受け止める。

大切にしている要素の1つがネガティブ。「全部がそうなら良くないけど、ネガティブがあるからポジティブがあると思っている」と言う。自分の能力を決して過信しない。好きな言葉は日進月歩。「毎日取り組む上で少しでも成長したい」と地に足を着けて歩んできたからこそ、今がある。

尊敬する人物はイチロー氏。競技は違うが「表で見られない部分で努力しているはず」と、理想像として追い求める。「言葉や行動、そして結果を出している。やっぱりそこがすごいな、って。自分も結果を出せるように頑張りたい」。トレードマークは、世界の安打製造機も蓄えているひげ。日本の職人が、代々木で世界を驚かせる。【勝部晃多】

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