<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇長野市ビッグハット◇男子ショートプログラム(SP)
宇野昌磨(26=トヨタ自動車)が首位発進した。ジャンプ全3本を決めて104・69点。94・58点の2位山本草太(中京大)に10・11点差、93・94点の3位鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)に10・75点差をつけた。
23日のフリーでは2連覇と、本田武史、羽生結弦に並んで歴代2位となる6度目の優勝が懸かる。優勝者が内定となる2連覇中の世界選手権(来年3月、モントリオール)代表へ、大きく弾みをつけた。
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取材エリアからの去り際、宇野が自虐気味に笑わせた。
「(出場が)13回目ですか。今、13歳の子とかいるんじゃないですか?」
11年大会、新人賞を手にした初出場から12年が過ぎた。今大会の女子に名を連ねる中学1年の上薗恋奈は当時1歳。2連覇が懸かる王者は「オリンピックも(含め)全ての試合を経験しましたけれど、一番緊張するのが、やっぱり全日本選手権」とかみしめて言った。
男子最年長でありながら、世界選手権2連覇。最前線を歩む男はたくましい。
冒頭の4回転フリップを決めると、サッとスピードを落とす。ピアノの音を拾いながら拍手を静め、スピードの強弱をつけながら4回転-2回転の連続トーループを成功させた。終盤のステップシークエンスは観客が静かに見守り、要所でランビエル・コーチが1拍、2拍、1拍、1拍と手をたたいた。ジャンプの調子が上がらずとも「どのようにやるかを模索し、いい成果が出た」とまとめ上げた。
演技以外の振る舞いは自然体という。
「ギリギリまで全然ゲームをしたりしていますし、僕はそんなに人とフレンドリーに話すタイプではない」
そう謙遜するが、追う者たちの捉え方は異なる。
同じ最終組で緊張する5歳下の大島光翔を「競技者の時だけだよ」とほぐし、後輩は「すごく吹っ切れて、全力で一瞬一瞬を楽しもうと思えた」と感謝した。出場者の全員が最高の演技を披露し、そうして競争できることを好む。
「年上として参考になるような選手ではない。でも何か少しでも皆さんの力になれたらいい。僕もまだ引っ張っていますが、これからスケートを引っ張っていくのは皆さん。今の僕の立場をちゃんと全うしたい。皆さんの目標となれるように優勝を目指したいと思います。ふがいない結果にならないように頑張ります」
中1日で迎えるフリー。宇野だけが目指せる、尊い新境地がある。【松本航】


