日本バレーボール協会(JVA)元幹部が、女子有力選手の日本国籍取得を巡る手続きで上申書の偽造を試み昨年処分されていた問題で、新事実が18日、日刊スポーツの報道で明らかになった。国に提出する「案」への署名と押印を当時の所属チームに拒否され、撤回していたはずが、実際は無断で作成。協会も、さらに法務局に提出されていたことまで確認した。
この件について18日、日本協会がステークホルダー(利害関係者)にメッセージを送付。スポンサー関係者から入手した見解の声明文書は「公益財団法人日本バレーボール協会」の名義で、タイトル「日刊スポーツによる報道について」。文書全文は以下の通り。
3月18日(水)、日刊スポーツより「上申書」提出に関する報道がありました。
本件は、昨年提出された第三者委員会による「国籍変更関連事案」の調査報告書には含まれておらず、公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)としては初めて認知した事象となります。
今回の「上申書」の内容につきましては、昨年、JVA担当者が、当該選手が当時所属していたチームとメールでやり取りを行い、チーム側の不同意により、実際には成立しなかった「上申書案」の内容と、同様の趣旨のものとなっています。
川合会長をはじめJVAとしての指示が無い中で、正式な手続きを経ず、無断で事実と異なる内容の「上申書」の作成が行われたことは、大変遺憾であり、作成者を含め事実関係についてしっかり追及し、しかるべき対処を行う考えです。なおJVAでは上申書内にある確認行為は行っておりません。
しかしながら、このような文書の作成を可能にしてしまったことは、協会のガバナンス体制の脆弱性に起因したものであり、昨年、ガバナンス体制の見直しに至った事象と同様、協会として大変厳しく受け止めております。
前回の「国籍変更関連事案」を受け、各方面からのご指摘、アドバイスも踏まえながら、ガバナンス体制の構築、強化を、現在進めておりますが、その実効をしっかり担保すべく、より一層努力して参ります。以上(原文まま)
この問題は、海外選手が18年に来日して日本国籍取得に動いたことが発端だった。出生国の代表経験を持つが「将来的に五輪代表入りの可能性が高い」と期待され、日本人男性と結婚後の23年1月から手続きを進めた。「継続的な滞在」が重要な条件下、オフの半年間を母国で過ごしていたために難航。そこで協会の担当者が、不在期間をチーム命令による「海外出張」だったことにして、滞在要件を緩和しようと画策した。
昨年6月に表面化。チーム幹部は「事実と違う」と署名を拒否し、協会もインテグリティ(高潔性)の観点から案を撤回したが、川合会長から「総論」として「困っていることがあれば助けてあげなさい」と伝えられていたプロジェクトの担当者が止まれなかったという。チームから「偽証」と1度は拒まれた出張命令を認められた見解とし、同意を得ないまま、公式文書に記載する手口を取った。協会名義で、チーム幹部たちに無断で明記していた。
この上申書が提出されたことで手続きが進み、選手は24年6月17日付で日本国籍を取得。一方で1年後に偽装と発覚し、その前の案を作成したマーケティング本部長に、けん責処分。国籍取得の支援をチーム幹部から頼まれた川合会長ら幹部は、給与の一部返上にとどまり、責任を担当者に押しつけた形になっていた。
その後、明るみに出た偽造文書は名義が「協会」で提出されており、組織トップの責任が問われてくる。


