陸上の静岡国際が3日、静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われる。春季グランプリの第4戦として男女16種目が行われ、ロンドン五輪代表選考競技会にも指定されている。エコパスタジアムはトラックで追い風となる部分が多く、過去にも周回種目で好記録が生まれてきた。

 長距離・競歩種目以外でロンドン五輪A標準を最も多く突破している男子の200メートルと400メートルハードルが行われる。

 200メートルでは高平慎士(27=富士通)、高瀬慧(23=富士通)、齋藤仁志(25=サンメッセ)の3人が20秒55を突破。北京五輪400メートルリレー銅メダルメンバーで、昨年の日本選手権も制している高平中心の展開になる。ただ、先月29日の織田記念100メートルを見る限り、高平はまだピークを持ってきていない。

 B標準突破者も4人いるが、そのなかでは山縣亮太(19=慶大2年)と飯塚翔太(20=中大3年)が注目される。山縣は織田記念100メートルで10秒08の日本歴代5位と絶好調。得意だった前半に加え後半が強くなった。200メートルでもA標準を大きく破ってくる可能性がある。

 飯塚は2年前の世界ジュニア選手権金メダリスト。広島出身の山縣が織田記念で快走したように、静岡県出身の飯塚が地元の声援を力に変えられれば、A標準は問題なく破ってくるだろう。大激戦となりそうな種目である。

 400メートルハードルは岸本鷹幸(21=法大4年)、今関雄太(24=千葉陸協)、小西勇太(21=立命大)の3人がA標準の49秒50を突破している。なかでも一番の期待は昨年の日本選手権優勝者で、テグ世界陸上でも唯一準決勝に進出した岸本だ。ハードルの強化関係者は「48秒台は出せる」と太鼓判を押す。

 この種目もA標準突破者以外に注目選手が多い。昨年の世界陸上代表で、アジア選手権では岸本と今関を抑えて優勝した安部孝駿(20=中京大3年)も大型ハードラーとして期待されている。アキレス腱を痛めて昨年は不調だったが、日本歴代2位を持つ成迫健児(27=ミズノ)も復調しそうだ。

 そして今大会参戦のために日本記録保持者の為末大(33=chaski)もアメリカから帰国。世界陸上で2回銅メダルを取っている為末も、北京五輪を最後に代表から遠のいている。4月30日の帰国時には「状態は8、9割できている。静岡では49秒台前半で走れる」と意欲を見せた。今大会をステップに6月の日本選手権(五輪最終選考競技会)で優勝し、自身4回目の五輪出場を目指すプランだ。

 他にも複数の標準記録突破者が出場する種目が多い。男子400メートルには金丸祐三(24=大塚製薬)と廣瀬英行(22=富士通)、女子400メートルハードルには久保倉里美(30=新潟アルビレックスRC)と青木沙弥佳(25=東邦銀行)、女子やり投げにも海老原有希(26=スズキ浜松AC)と宮下梨沙(28=大体大TC)が参戦。これらの種目は日本選手権前哨戦の様相を呈する。