<陸上:日本学生対校選手権>◇最終日◇12日◇東京・国立競技場

 男子1万メートル競歩は勝木隼人(東海大4年)が40分57秒05、2位に1分以上の大差をつける独歩で2連勝を達成した。ロンドン五輪20キロ競歩代表だった西塔拓己(東洋大2年)は不参加。

 「その分勝たないといけないプレッシャーがありましたが、前回優勝者として、後ろにつくせこいレースはしたくなかった」。

 近年の競歩日本代表はジュニア時代からトップで活躍する選手が多いが、勝木は異色ともいえる経歴を持つ。大学2年時に駅伝チームのマネージャーから転向。最初は競歩選手とマネジャー兼務で、駅伝チームの朝練習前と夕食後が自身の練習時間だった。睡眠時間が3時間という日も珍しくなかったという。

 しかし20キロ初レースとなった昨年2月の日本選手権20キロ競歩で7位。その年の世界陸上B標準を破ったことが評価されて競歩に専念できるようになった。今年2月の日本選手権は4位で五輪A標準を突破。2年ちょっとのキャリアだが、歩型違反をとられることも少ない。競歩センスが高く評価されている選手だ。

 ロンドン五輪は日本選手権2位の西塔までが代表に選ばれた。その差はわずか13秒だったが、先頭集団でレースを進めた西塔に対し、勝木は後方追い上げる安全策の展開をした。

 「今後のレースはすべて、先頭集団で歩きます。その力はつきました。今日も(五輪代表と対決が予想される)国体に向けた練習の一環で、レース用ではなくアップシューズで歩いたんです」

 西塔も、五輪代表だった実業団選手たちもスタンドに来ていた。その目の前で勝木が実力をアピールしたレースだった。