<東京国体:陸上>◇4日◇味の素スタジアム

 女子5000メートルの尾西美咲(28=積水化学)がモスクワ世界陸上代表の貫禄を見せた。

 世界陸上1万メートル5位入賞の新谷仁美(25=ユニバーサルエンターテインメント)が欠場したレースはスローで進んだが、残り600メートルで尾西が一気にスパート。15分43秒03とタイム的には平凡だったが、2位を15メートル以上引き離して力の差を見せつけた。「ラスト3周くらいで出たかったのですが、インにポケットされてしまって出られなかったんです。世界陸上から帰国して初レースだったので、勝ててちょっと安心しました」

 世界陸上は「高校でも経験がない」というほどの超スローペース。そこから一気にスピードが上がる展開に対応できず、無念の予選落ちを喫した。「本当に何もできませんでした。自分で行く勇気も持てなかった」と唇をかんだ。

 今回もスローな展開は同じだったが、国内での上げ下げなら余裕で対応できることを示した。「悪いイメージを払拭するきっかけにできたと思います」

 6月の日本選手権は“意外な優勝”と言われたが、今回は日本代表として貫禄さえ見せた。同じ味の素スタジアムでの勝利だが、中味が違う優勝だったといえる。

 腰高のフォームで、1500メートルで培ったスピードは国内屈指の尾西。来季以降再度、国際舞台にチャレンジする。