<大阪国際女子マラソン>◇29日◇大阪・長居陸上競技場発着(42・195キロ)

 優勝候補だった福士加代子(29=ワコール)が、2時間37分35秒の9位と惨敗した。27キロ手前で急激にペースダウンし、優勝した重友梨佐(24)に離された。次々と順位を落とし、最後はジョギングのような状態でゴール。19位に終わった4年前の大阪国際の悪夢を払拭(ふっしょく)できなかった。ロンドン五輪は、本職のトラック種目で3大会連続の出場を目指す方針を明らかにした。

 トラックの女王は、マラソンの女王になれなかった。3度目の挑戦だった福士は課題の終盤を迎える手前で大失速。「また失敗しちゃいました。25、6キロくらいで足が重いなと」。直後に重友から離された。35キロで抜かれた嶋原には「ここからだよ」と声をかけられたが、ペースはさらに鈍った。35キロからの5キロは24分4秒もかかった。これは100位以内に入った選手中3番目に遅いタイムだった。

 昨年10月シカゴで自己記録を大幅に更新。ただ初挑戦した4年前の大阪と同じミスを繰り返した。永山忠幸監督は「25キロでガス欠状態。反省が生かされてなかった。失速は私の調整ミス」とかばった。福士は九州での最終合宿で「体が重く感じる」と訴えた。そこで管理栄養士とも相談して食事量を制限したことが裏目に出た。「ちょっとエネルギー不足でしたかね」と敗因を自己分析した。

 ゴール後、着替えを済ませた福士は「名古屋のチャンスはあるんですかね?」と永山監督に尋ねた。最後の選考レース、3月11日の名古屋ウィメンズまでわずか6週間。再挑戦は非現実的で「トラックに切り替えた方がロンドンに遠回りしなくていい」と永山監督。福士も「(ロンドンは)トラックでしょうね」と明言した。マラソンは継続する意向だが、克服すべき課題はまだまだ多い。【大池和幸】