<名古屋ウィメンズマラソン>◇9日◇ナゴヤドーム発着(42・195キロ)

 12年ロンドン五輪代表の木崎良子(28=ダイハツ)が、9月開幕のアジア大会(韓国・仁川)代表の座を確実にした。左脚のしびれから35・5キロ付近で日本人トップ争いから脱落。驚異の粘りで巻き返し、ラスト250メートルの勝負で早川英里(TOTO)を振り切り、日本人最上位の3位表彰台をゲット。2時間25分26秒のタイムで代表の座は確実だ。マリア・コノワロワ(ロシア)が2時間23分43秒で優勝した。

 痛みとしびれが走る左太ももを、木崎は「動いてくれ、という気持ち」から左拳で何度もたたいた。10キロ過ぎから起きた左足中指のしびれは太もも、臀部(でんぶ)にも走り、痛みも交じった。35キロを過ぎて早川と田中に引き離される。最大で約50メートル差。絶望しても不思議ではない。だが木崎は左拳で自分を鼓舞した。

 「ラストでいいぞ!」。スパートを指示する林監督の声が聞こえた。徐々に詰めればいいんだ、と思うと気が楽になった。「下半身がダメなら上半身で頑張ろう」と腕振りも強くした。気がつけば40キロ手前で追いつく。昨年のVパターンで練習でも重視した残り2キロには、絶対の自信を持つ。粘る早川を突き放した。

 故障の原因を「練習と違う靴をはき、慣れてなかったのかも。あとは私の弱い部分で左脚全体の強化が甘かったのか」と分析した。アクシデントさえなければ「優勝した人と同じぐらいは出ていたと思う」と残念がるが、3大会連続日本代表の座は確実だ。4月に入社する佛教大・前田が1月の大阪国際で好走。「アジア大会の1番候補に入ったのに刺激されたこと」も、方針転換の理由になった。ロンドン、モスクワで味わった悔しさを韓国で晴らす。