<フィギュアスケート:4大陸選手権>◇3日目◇6日(日本時間7日)◇女子フリー◇カナダ・バンクーバー

 【バンクーバー=佐々木一郎】SP6位と出遅れた浅田真央(18=中京大中京)が、世界女王の意地を見せた。フリーで1位となり、合計176・52点で3位に浮上。05年のシニア転向以来、逃したことのない表彰台を死守した。ジャンプが不調の中、演技構成の難度を落としながらも、フリーではほかの選手とは違うレベルにあることを証明した。10年バンクーバー五輪の会場で戦える姿を示し、3月の世界選手権(ロサンゼルス)で連覇を期す。

 失敗しても、浅田は逃げなかった。最初のトリプルアクセル(3回転半)は、すっぽ抜けて1回転半になった。成功していれば跳ぶ予定のなかったトリプルアクセルに再度挑戦。「1回は跳ぶって決めていたので、絶対に決めようと思いました」。2度目は鮮やかに舞った。

 ジャンプの調子は戻っていない。連続3回転ジャンプは3回転+2回転に変更した。3回転トーループは、2回転になった。だが現状でやれることをやった。118・66で、フリーに限れば1位。ミスが出ても底力が違うという事実をアピールできた。

 「今の調子だとこんなもんです」と不調だったことを明かした。原因について「分かっています」と話したが「秘密です」と明言を避けた。実は1月中旬の練習で右ひざを痛め、その後は十分な練習が積めていなかった。滑り込みも足りず、スタミナ不足だった。一方、最初のジャンプミスについては、通常より4メートル幅が狭いリンクを気にして、助走で回り込みすぎたことだったと説明した。

 吉岡伸彦強化部長は「タラソワ先生が来るとか来ないとか、ちょっとバタバタした。心理的に影響したのか。悪い方のスパイラルにはまったのかもしれない」と、個人の事情によるコーチ不在を指摘した。そんな中、浅田は3位を確保。最悪の状況は回避し、3月23日開幕の世界選手権につなげてみせた。

 収穫はある。「五輪に向けて、すごくいいシミュレーションになりました。バンクーバーの街を歩いたり、買い物をしたり、食事をしたり。この会場に何回も来るのはいいことだと思うので、準備が良くない中では(この経験は)良かったです」。夜はすしを食べに行く日もあり、街になじんできた。

 記者会見では、韓国メディアから、SPでミスが続く3回転ルッツを変更する可能性を問われた。しかし、迷わず言った。「夏の間、ルッツを修正してきたので、この状態ならルッツを頑張っていきたいです」。気持ちは折れていない。原因不明の不振でもない。バンクーバーで笑うのは、1年後にとっておく。