「鉄の女」が泣いた。9日に今季限りでの引退を表明したテニスの杉山愛(34=フリー)が11日、全米から帰国して、成田市内で引退会見に臨んだ。8月上旬に体力と気力の限界を感じて引退を決意したことを明かした。二人三脚で歩んできた母芙沙子さん(60)の「もう頑張らなくてもいいよ」の言葉に、涙を流す場面もあった。今後は指導者として自らのテニスアカデミーで後進を育成していくが、「いい人がいたらお願いします」と婚活宣言も飛び出した。杉山は27日開幕の東レ・パンパシフィック・オープン(東京・有明)が現役最後の試合になる。

 杉山は涙をこらえきれなかった。笑顔で最後まで通すつもりだったが、芙沙子さんの「本当にがんばってきた。だから、もうがんばんなくていいよ」の言葉に感極まった。「感謝の気持ちでいっぱいです」と言うと、涙がほおを伝った。

 8月上旬に引退を決意したという。7月下旬に米サンディエゴで約1週間、トレーニングを積んだ。しかし「来シーズンもその先も続けてできるかといえば、その気力も体力もないなと感じた」。8月に日本にいる芙沙子さんに電話して本心を告げると、「いつ止めても十分にやったと思う」と話していた母は「いいんじゃないの」と答えたという。

 7月5日に34歳になった。引退後は「やりたいことはたくさんあるけど、まずテニス界に恩返しをしたい」。指導者として自らのテニスアカデミーで後進を育成していくが、将来の代表監督の可能性も否定しなかった。一方で「いい人がいたらお願いします」と頭を下げ「婚活」も宣言した。東レ・パンパシフィックが最後の試合。「現役だからまだ気持ちが張っている」。涙顔がいつもの笑顔に戻っていた。【吉松忠弘】