世界の「エア・ケイ」がトップ10に肉薄だ。男子テニスの最新世界ランキングが10日発表され、全仏オープンで16強入りした錦織圭(23=日清食品)が自身の持つ日本男子最高位を更新。前回から2つ順位を上げ、世界13位となった。今年の目標とする夢のトップ10入りに前進した。

 残り、わずか3位。錦織のトップ10入りが目前だ。9日に終了した全仏4回戦で、8度目の優勝を飾ったナダルに敗れたが、ポイント180点を上積みすることに成功。「成績が出ていなかった全仏でベスト16は悪くはない」と、錦織も納得の手応えで、世界ランクを更新した。

 18位でスタートした今年の年頭に「今年の目標はトップ10」と公言。1月の全豪と今回の全仏で、ともにシードを守り16強。2月には米メンフィスでツアー3勝目を挙げた。今年、10大会に出場し、初戦負けは1回だけ。12年6月18日にトップ20入りしてからこの日まで46週間。20位を下回ったのは4週間しかない。実力が安定した証拠だ。

 しかし、トップ10入りの難しさは錦織自身が肌で実感している。「入れればうれしいが、まだ課題は多い」。世界ランクは、上位になればなるほど、選手間の合計獲得ポイントの開きが大きくなり、簡単に上がらない。今週、参戦するドイツ・ハレで行われるツアー大会に優勝しても最高11位が濃厚だ。24日開幕のウィンブルドンも、昨年は3回戦進出。昨年と同等以上の成績を残さないと、世界ランクを維持するのは難しい。

 父清志さんも「急ぐ必要はないでしょう。一瞬入って、落ちていく選手も多い。トップ10に見合った実力と人間性が必要だと思います」と話す。日本男子前人未到のトップ10。錦織にとって近くて遠い大きな目標だが、この日の世界ランク更新で、遠くて近い現実になったことも確かだ。

 ◆錦織の来週ランク

 錦織の現在の合計点は2495点。今週参戦するハレが終了した時点で失効する点は0。今週得られる最多は優勝で250点。しかし、世界ランクは上位18大会の加算のため、現在の合計点に250点を加えると19大会の加算となる。そこで、現在の18番目の45点が加算対象外となり、計2700点が今週終了時点の最多合計得点。11位のハース、12位のチリッチは両者とも今週の失効点が250点と大きいため、同じ点数を今週に稼がないと、現在の合計点より下がる。実質、錦織より下位からのスタート。錦織は1回勝ってベスト8で、12位以上が確定。現在10位のワウリンカは合計点が今週は動かないため、錦織が2700点となっても抜けない。<男子世界ランキングと錦織とのポイント差>1位ジョコビッチ

 11830P(セルビア)9335P差2位マリー

 8310P(英国)5815P差3位フェデラー

 7640P(スイス)5145P差4位フェレール

 7220P(スペイン)4725P差5位ナダル

 6895P(スペイン)4400P差6位ベルディハ

 4515P(チェコ)2020P差7位ツォンガ

 4155P(フランス)1660P差8位デルポトロ

 3960P(アルゼンチン)1465P差9位ガスケ

 3090P(フランス)595P差10位ワウリンカ

 2810P(スイス)315P差11位ハース

 2585P(ドイツ)90P差12位チリッチ

 2570P(クロアチア)75P差<錦織の世界ランク推移>06年3月20日

 1504位

 初の世界ランク入り07年7月23日

 373位

 ツアー本戦に初出場08年2月18日

 131位

 ツアーで初優勝飾る08年4月28日

 99位

 世界トップ100入り09年8月17日

 100位

 右ひじの手術で離脱10年3月22日

 ランク外

 09年3月からケガで欠場10年11月22日

 99位

 トップ100に復帰11年5月22日

 46位

 日本男子最高位に並ぶ11年10月17日

 30位

 日本男子最高位更新12年1月30日

 20位

 全豪8強でトップ2012年10月8日

 15位

 楽天オープン優勝でトップ1513年6月10日

 13位

 全仏16強でトップ10目前