<体操:世界選手権>◇第5日◇7日◇中国・南寧
男子団体決勝が行われ、日本は04年アテネ五輪以来10年ぶり、世界選手権としては78年ストラスブール以来36年ぶりの金メダルを逃した。最初の床運動から5種目を終えるまで首位を守り通したが、最終種目の鉄棒で、中国の最終演技者・張成竜に逆転を許した。日本は合計273・269点で、中国の273・369点にわずか0・100点及ばなかった。
中国の点が出た瞬間、日本の選手の誰もがあっけにとられた。「まさか」。15・966点という信じられない点数に、内村は怒りよりも苦笑いしか出なかった。「言いたいことは山ほどある」。しかし、その言葉はのみ込んだ。「完全なアウェーで0・1差。場所の0・1差だと思う」。悔しさだけがにじみ出た。
誰もが36年ぶりの金メダルを確信していた。中国最後の演技者を残し、日本と中国は15・866点差。張は決勝出場選手、鉄棒の難度は7・5点と最高を誇る。しかし、技の美しさを示すE得点は高くない。予選では難度を0・1点落としたが、E得点は7・766点にとどまった。
世界で最も美しいと言われる世界王者の内村でも、鉄棒のE得点は8・500点だった。それが張が最後にたたき出した得点は15・966点でE得点は8・466点。予選と決勝で大きなミスがなく、予選よりも0・7点も高いE得点に、日本チームの誰もが目を疑った。
加藤の言葉が全員の心を代弁していた。「これが採点競技の怖さなんだと思い知らされた」。鉄棒最初の演技でミスが出た加藤は、中国の逆転が決まると、ずっと目を閉じたまま立ち上がれなかった。「でも、負けてしまっているので何も言えない」。
今回は、金メダル奪回の絶好のチャンスだった。中国は、金に輝いたロンドン五輪から残った選手は1人だけ。3人が初代表という世代交代の最中だった。代表の森泉コーチは「今回勝てなかったら、今後も勝てない可能性が高い」と話していた。
ロンドン五輪で、4点以上あった中国との差は、0・1点まで詰まった。惜しむらくは、予選の2位通過。1位通過なら、最終種目の鉄棒で、最後の演技は日本。中国の得点を見てから演技ができた。「やるだけのことはやった。これはしょうがない」。内村の言葉がむなしかった。


