<フィギュアスケート:GPシリーズ第6戦・NHK杯>◇第2日◇29日◇大阪・なみはやドーム◇男子フリー
無印男がまさかのVだ。ショートプログラム(SP)3位の村上大介(23=陽進堂)が、4回転を2本、成功させてフリーで166・39点、合計246・07点で勝った。10月に引退した高橋大輔さん(28)に背格好がそっくりの「大ちゃん」がGPシリーズ初制覇した。
ホテルに戻るバスに乗っているはずだった。村上大は、メダルが確定した演技直後に「ヤバイッス!
メダルとると思ってなくて。バスに乗って(宿舎に)帰っている時間なのに」。ライバルたちのスコアが伸びずSP3位から逆転でまさかの初優勝。さらに目を丸くして「表彰台に上れるとは思ってなかった。優勝はびっくりした」と真っ白い歯をきらりと光らせた。
日本スケート連盟の推薦で出場。「来年のGPシリーズに呼ばれるように、ベストスコアを出したい」。GPファイナルがかかるライバルと違って、伸び伸び演技。SP3位になった前夜は「今日の結果で空気が変わっちゃった」と苦笑い。この日は「緊張で頭が真っ白になった」というが、フリーで4回転サルコー、4回転サルコー-2回転トーループを決めた。「2発目をきめて緊張も吹き飛んじゃった」と笑った。
神奈川県生まれだが、9歳の時に家族で米国に引っ越し。「アメリカでスケートに出会って、はまっちゃった」。米国代表で国際大会に出たこともあったが、07-08年シーズンに日本に所属を変更。そのきっかけは、浅田真央の母である故匡子(きょうこ)さん(享年48)。米国で練習が一緒になった際に「日本代表でやるべき」と勧められた。その言葉を聞いて「日本代表でスケートをやりたい」。この日、表彰式で日の丸を見上げて、涙を流した。
嫌な記憶も吹き飛ばした。2年前のNHK杯は転倒による右肩脱臼で棄権。すぐに拠点の米国に戻って手術を受けた。12月の全日本選手権は欠場。「動画サイトで大会を見て、本当に悔しかった」。悔しさを糧にして、初の頂点に立った。
次の目標は12月の全日本選手権。好きな言葉は「ハッピー」というもう1人の「大ちゃん」が、台風の目になる。【益田一弘】<村上大介(むらかみ・だいすけ)アラカルト>
◆生まれ
1991年(平3)1月15日、神奈川県生まれ。
◆身長
165センチ。
◆武器
サルコー、トーループの4回転ジャンプ。試合で2本を決めたのはこの日のフリーが初めて。
◆拠点は米国
9歳で家族と米国に引っ越し。現在はロサンゼルスでフランク・キャロル・コーチのもと、ソチ五輪銅メダルのデニス・テン(カザフスタン)らと練習。キャロル・コーチは「皆が苦労する4回転ジャンプを器用にこなす。SP3位もうれしかったが、まさか勝つとは…。全く予期していなかった」と驚く。
◆もう1人の大ちゃん
今季のSPは高橋大輔さんが06年トリノ五輪で使用した曲のボーカル入り。引退した高橋さんへの敬意を込めている。「すごい先輩。アドバイスをもらった」。
◆感情は出さない?
「感情を出す方じゃない」と自己分析。だが前日28日のSPでは4回転サルコー-2回転トーループを完璧に決めて「出来栄え点で+3点!って感じで、手を上げちゃった」と照れ笑い。
◆好きな言葉
ハッピー。
◆好きな食べ物
すし。


