記者席から見える青色のスタンド席が、等間隔に埋まっていた。有観客試合が再開した10日のオリックス-日本ハム4回戦(京セラドーム大阪)。約4000人の野球ファンがスタジアム観戦を楽しむ中、とても残念なできごとがあった。

「よそ見するなー! 清宮ー! 」

オリックスが3点を追う8回1死二、三塁、カウント2-2。緊迫した場面で、代打伏見はタイムを要求した。打席を外して、素振りする。真剣な表情は一瞬、崩れた。日本ハム2番手の宮西もプレートを外すと、一呼吸。勝負を分ける1球に「間」が入った。

残念だったのは客席からの声が「試合を止めてしまった」ことだ。いわゆる「ヤジ」で、結果が変わってしまった可能性だってある。観客がプレーを妨げていい理由はどこにもない。

球場関係者も困惑する。「新しい応援スタイルをファンの皆様と一緒に追求していきたい。今回のようなことはあってはならないのですが…」。今季は新型コロナウイルスの影響で「野球観戦の方法」も大きく変わった。現状の観戦ルールとして、応援歌合唱、指笛などは禁止されている。今はグラウンドから奏でられる「球音」を楽しみに、チケットを握りしめるファンがたくさんいる。選手が心地よくプレーできる環境を求めたい。【オリックス担当=真柴健】