何げない声掛けで、モチベーションは変わる。21日の西武戦(京セラドーム大阪)からタクトを振るオリックス中嶋聡監督代行(51)は「対話重視」の指揮官だ。
「楽しいものなので、野球というものは。今年に限って言ったら(新型コロナウイルスの影響で)非常に長いこと開幕を待って(野球が)やれたとき、自分たちも感動した。そのうれしさを(グラウンドで)出して欲しい」
中嶋監督代行は、86年ドラフト3位で阪急ブレーブスに入団。97年オフにはメジャーリーグ移籍を断念して西武入り。02年オフにトレードで横浜へ、03年オフには金銭トレードで日本ハムに移籍した経験がある。07年からは日本ハムで選手兼任コーチを務め、15年に現役引退した。
余談だが、95年から03年まで「週刊少年チャンピオン」に連載された水島新司の「ドカベン プロ野球編」では、オリックスの看板選手として漫画の中にも登場する。「秘打・白鳥の湖」など野球ファンを魅了する殿間一人が所属するオリックスで、登場シーンが多いのは1、2番コンビを組むイチロー。セカンドのポジションを競う福良淳一(現GM)、さらに中嶋監督代行は捕手として、主人公の山田太郎(西武)を倒そうと意気込む。中嶋監督代行は97年に西武に移籍した際には捕手・山田のライバル役としても登場するなど、球界を代表するキャッチャーだった。1軍実働年数29年はNPB最長記録であり、豊富な経験を持つ。そんな中嶋監督代行だからこそ「一言」の重要性を知っている。
昨季からオリックス2軍監督を務め、20日に監督代行に昇格。ファームで指導を受けていた選手たちは「普段、見ていないようなフリをして、本当は細かいところまで見てくれている。声を掛けてくれるタイミングも、みんなが見ていないところ。断然、やる気は上がりますね」と話す。
20日には朝一番に大阪・舞洲の球団施設に足を運んだ。2軍で33試合に出場し、打率3割7分と打撃好調だった杉本に「一緒に(1軍に)行くぞ」と声を掛け、昇格即スタメン起用。今季1軍初昇格&初安打を放った杉本は「(野球が)楽しかった! 」と充実感を漂わせた。
中嶋監督代行は「何から始めていいのか、どこが問題なのか。それの全てを1日で把握するのは無理なので。戦力全てを把握して、もう1回(戦力を)組み合わせたい」と先を見据える。中嶋監督代行が指揮を執ってから、助っ人アダム・ジョーンズ外野手(35)が2戦連発の3本塁打を放った。指揮官は「(話した内容は)内緒! 」とはぐらかすが、ジョーンズは「ポジティブな話をしたよ」と笑顔だった。
監督インタビューでも、人間味ある受け答えで報道陣を笑わせることが多々ある。「対話重視」の新指揮官の下、新生オリックスが高みを目指す。【オリックス担当=真柴健】




