近大付(南大阪)が10年ぶりの出場で、93年夏以来の初戦突破を逃した。

 左腕エース大石晨慈(3年)が粘投で5安打2失点と試合を作ったが、攻撃で決め手を欠いた。2回は2四死球による無死一、二塁から送りバント失敗。6回は敵失で得た無死一塁で走者がけん制死。8回は1死二塁から1番川瀬剛志(3年)が左前打を放ったが、二塁走者大石が本塁タッチアウト。前橋育英の恩田慧吾(3年)に6安打完封を許した。

 藤本博国監督は「1点を取れば、劇的に流れが変わる可能性があった。そのチャンスをずっと探していたんですが…」。走塁死、バント失敗などでチャンスをつぶし、8回の本塁憤死も三塁ランナーコーチがストップをかけていれば…と、一見ミスにも見えた。「あそこは外野手のポジショニングを見て、あとは走者の三塁ベースタッチと外野手の捕球のタイミングとの兼ね合い。ジャッジミスではないです」と選手をかばった。

 藤本監督の2学年上のOBで音楽プロデューサーのつんく♂は10年前から、夏の試合ごとに大量のスポーツドリンクを差し入れてくれる。また、他のOBも在校生もこの日、満員のアルプス席から熱狂的な声援を送ってくれた。藤本監督は「僕も生徒たちも幸せを感じました。でも、だからこそ、そこで勝つ野球をしたかったですね」と残念そうだった。