市和歌山の笑顔の王子様が7年ぶり夏1勝を導いた。大路(おおじ)隼平内野手(3年)が3回に決勝の2点中前打。甲子園から背番号「6」を勝ち取った守備職人が、打撃でヒーローになった。鳥栖工(佐賀)は兄弟バッテリーの活躍で延長12回の激戦を制し、初勝利。社(兵庫)と立命館宇治(京都)は打戦が振るわず、初戦で敗退した。
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プリンスの笑顔が、3安打2打点と夢の舞台で輝いた。1-1の3回1死二、三塁で、大路は「変化球を張っていた」と低めのスライダーを引きつけ、中前への勝ち越し打。身長165センチと小柄な王子様は右手を突き上げ、ベンチに向かって満面の笑みを見せた。
「打撃は自信ないんですけど」と照れたが、抜けた瞬間「次も打ったろうという気持ちになりました」。5回には左二塁打、7回にも左前打と大暴れだった。
和歌山大会は背番号12。試合後半になれば出場する「守備職人」だった。周囲の信頼を得て、甲子園で背番号6をつかんだ。「背番号はあまり気にしない。ただ、試合に出た時は全力でチームのためを考えています」と言い切った。
準備を整えていた。相手投手の映像を見た際、変化球が多いことに気付いた。前日の打撃練習では投手に頼み、スライダー対策に時間を割いた。「スライダーが来たら行くだけと思ってました。自分が打ったるという気持ちでした」と自信を持って初戦に臨んだ。
3人兄弟の末っ子で幼い頃から常に笑顔。だが、笑顔の裏には準備がある。帽子のツバに書かれているのは「攻」の字。「守備でも攻める。点差があっても、どんな場面でも守りに入らずに、攻めて行こうと(書きました)」。アルプスで応援した2年生部員の山田吏玖は「練習後も真剣に教えてくれます。守備をやって見せてくれて。かっこいいです」と憧れる。大路は「やっぱり楽しんでやってできたのでそれが1番です」と謙虚だった。守備はもちろん、打撃と笑顔で7年ぶりの夏1勝に貢献した。【村松万里子】
▽市和歌山・栗谷(先発で6回途中3失点)「最後は(小野)莞都(かんと)が投げてるので抑えてくれるだろうと。県大会後、(右肩の)張りで投げられず、再開したのは3、4日前でした。ちょっと怖さもあったけど、そこは関係なく、楽しんでいました」

