楽天オコエ瑠偉外野手(21)が「フラフープ打法」でレギュラー取りに挑む。沖縄・久米島キャンプ第2クール初日の6日、ランチ特打で約120スイング中25発の柵越え。3連発もあれば、詰まったように見えた打球が中堅スコアボード最上部を直撃する場面もあった。

「打ち方、意識を変えて逆方向、中堅方向の伸び方が変わってきた」とうなずきつつ「結果が出るまで自分の打撃について(詳細に)話す気はないですよ」とにこやかにかわした。

明かしたのはヒントだけ。オフは選手の動作解析を行ってきた専門家に師事した。「これまで自分の中で6、7割は感覚が占めていた。まず、座学から」。理論を学び、好打者の共通項を体にすり込ませるツールを見つけた。「フラフープを持っているイメージが、一番イメージしやすかった。自分が中心、周りに円ができている。そのラインをイメージして打つ。イチローさんとか(ヤンキースの)ジャッジとか、全員そうなってる」。オフは実際にフラフープを手にスイング動作を反復。ハーフスイングで止めるようなティー打撃もその一環だ。何より「バットを出す順番は決めてる。足を回して、腰を回して、右肩を出してから、バットが出てくる。それだけ」とシンプルを心掛ける。

軸を意識し、正円の軌道を描くことが肝なのか。「自分もまだ練習中。これ以上は、活躍してから…」と口をつぐむ。確かな手応えにも浮つく気配はない。平石監督も「4度目のキャンプで、間違いなく一番準備してきた」と成長を認める。ドラフト1位辰己涼介外野手(22=立命大)をはじめ、争いは激しい。「(辰己は)間違いなくライバル。『経験』という使われ方は、この先ない。結果を残すしかない」。言葉の端々ににじむ自覚。プロ3年間の積み重ねを無駄にはしない。【亀山泰宏】

◆楽天オコエのキャンプ ルーキーイヤーの16年は慣れない木製バットへの対応に苦しみ、タイミングの取り方など課題を指摘されるほろ苦いスタートだった。17年はトップの位置でバットを少し寝かせ、小刻みに左右に動かし、豪快に振り切る打法がヤクルトのバレンティンをほうふつとさせるも、首脳陣から厳しい評価を下された。昨季は大リーグで起きた「フライボール革命」を強く意識。チーム屈指のスイングスピードを生かし、最も本塁打が出るとされる打球角度30度前後の「バレルゾーン」を体に染みこませていた。