あぁ、痛恨のノーヒットノーラン…。阪神が赤っ恥をかいた。中日戦で大野雄に無安打無得点を食らい、屈辱的な完敗。矢野燿大監督(50)は「2敗になるわけじゃない」と前を向いたが、3位広島と4・5ゲーム差となり、5位中日が再び0・5差に接近だ。06年9月16日に山本昌に達成されて以来、13年ぶりにノーヒットノーランの引き立て役。貧打&拙守が響き、15日の巨人戦に負ければV逸が決まる。
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下位停滞に追い打ちをかける悪夢だった。マウンドで躍動する大野雄に歯が立たない。9回も異様なムードにのみ込まれた。2死。あと1人。近本のライナーは三塁を襲ったが高橋が好捕…。逆転CSを狙う立場だがノーヒットノーランを食らった。矢野監督は淡々と振り返るしかなかった。
「状態は良かったから、そんなに簡単に、なかなか崩せないなと。立ち上がりを見ても思っていた。絞りづらいというかツーシームがスピードも結構速いし、真っすぐに見えるところでなかなか。見てると簡単ではないけど、うちの課題」
プレーボール直後から兆しがあった。1回、好調の先頭木浪がいきなり得意な内角球にバットを折られる二ゴロ。近本は低めに制球されたフォークに空を切った。打者2巡目に入る4回攻撃前に円陣を組んでも変わらない。6回1死で梅野が敵失で出塁するまで完全投球だ。9三振を奪われ、四球も1つだけ。粘れず、浜中打撃コーチは猛省した。
「むちゃくちゃ良かったから。真っすぐとフォークの軌道が、まったく一緒の軌道。なかなか打つのは難しい。セーフティーをしたり、揺さぶりをかければ良かった。僕の指示も出せなかった。僕の責任もある」
前日13日に本塁打を放ったベテラン福留は休養日。刺客に送り込んだ北條、陽川も返り討ちにされた。2三振の北條も「真っすぐとツーシームの見極めができなかった。1球もボールに当たらなかった」と脱帽した。見落とせないのは守備力の差だ。6回、木浪の安打性のゴロを京田に好捕されると、8回も梅野の打球を高橋の好守で阻まれた。球際に強く、中日の失策数はリーグ最少42。同ワースト98でポロポロこぼす、阪神の守備とはあまりにも対照的だった。
ナゴヤドームはやはり鬼門だ。06年9月16日、山本昌に幻惑されて以来、またも、この球場で屈辱を味わった。それでも指揮官は「この負けも痛いけど、2敗になるわけじゃない。残りの戦いで俺らがどういう姿勢を見せるかの方が大事」と話す。3位広島と4・5ゲーム差に広がり、5位中日は0・5差に迫る。今日15日の巨人戦に敗れれば、14年連続V逸が決まる。矢野阪神がじわじわ追い詰められている。【酒井俊作】
▼06年9月16日(阪神0-3中日) 首位中日を4ゲーム差で追う2位阪神は、15日から敵地ナゴヤドームでの3連戦に臨んだ。初戦に完封負けした阪神は16日の第2戦で左腕山本昌と対戦。無安打のまま9回を迎え、最後は赤星が三ゴロに倒れて41年ぶりのノーヒットノーランを食らった。走者は失策で出た1人だけだった。勝負どころで連敗し、ゲーム差は6に広がった。直後から9連勝するなど巻きかえしたが、中日のペースも落ちず、10月10日に中日の優勝が決定。最終的に3・5ゲーム差で2位に甘んじた。ナゴヤドームで1勝10敗と大きく負け越したのも響いた。