約2000人のファンが門出に駆けつけた。ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)が1日、沖縄・石垣島でキャンプイン。グラウンドでユニホームを着る、プロ野球選手としての“誕生日”を精力的に過ごし、フィーバーを招いた。直前には、同2位・佐藤都志也捕手(22=東洋大)にバースデー・サプライズ作戦を仕掛けたことが判明。名演出家でもあることが分かった佐々木朗が、華々しいプロ野球人生になるよう、自身をプロデュースしていく。

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プロ野球選手としての夜が明けた。佐々木朗は「とてもいい練習ができたなと思います」と充実の表情でキャンプ初日を振り返った。背中には「R.SASAKI」。大船渡高より少し細いストライプのユニホームが、似合っていた。約40メートルの距離でのキャッチボールに厚底シューズを履いての12分間走。快調な船出となった。

岩手を離れ、1カ月。すっかり新天地になじんだ。同期入団の6人には、特に感謝する。「今だけじゃなくこれからも特別な存在になる。ポジションが違うので接する回数も減りますが、なるべくコミュニケーションを取って、お互い一緒に活躍できたらいいなと思います」と思い描いている。

だからこそ大事な“儀式”があった。1月27日夜、石垣島のホテルで佐々木朗が秘密裏に動いた。

22歳の誕生日を迎えたドラフト2位佐藤のスマートフォンに、同4位の高卒ルーキー横山から連絡を入れてもらった。「トシヤさん、僕たちの部屋でトランプやりましょうよ」。横山は佐々木朗と同部屋だ。佐藤と同室の植田は「すぐに行くから、先に行っててよ」と佐藤を自然に送り出した。

佐藤は少し歩いて、高卒新人の部屋前に到着。しかし、部屋の中からは反応がない。今度は「やっぱりトシヤさんたちの部屋で」と連絡を入れ、戻ってもらった。佐藤が自分の部屋を開けると真っ暗だった。だが、すぐに「ハッピーバースデー♪」の歌。佐々木朗ら同期たちはショートケーキと一緒に笑って迎えた。

佐藤を一時的に部屋から出し、その間に舞台を仕込む高等テク。佐々木朗がプロデュースしたという。「全然分からなかった」と佐藤を喜ばせた。実は2年前の誕生日、佐々木朗は野球部仲間たちから似たような作戦のサプライズを受けている。“リベンジ”は、今の仲間たちを尊重している証しだ。

これからは野球人生の脚本を書く番だ。「早く1軍でチームのために活躍して、たくさんの恩返しをしたい」と誓う。それでも焦ることなく、逆算型で思い描くサクセスストーリー。「いつブルペン入り?」と騒ぐ周囲をよそに、じっくり礎を築き上げるキャンプになる。ただ、163キロを投げる規格外の投手でもある。いつサプライズがあっても、不思議ではない。【金子真仁】

<佐々木朗のキャンプ初日>

午前5時30分 起床。その後検温、朝食

午前7時25分 日の出

午前8時17分 球場到着

午前9時0分 ウオーミングアップ、その後キャッチボール

午前10時00分 投内連係

午前10時20分 吉井コーチが見守る中で再度キャッチボール

午前11時14分 練習合間に子どもたちにサイン

午前11時30分 12分間走、終了後昼食、ウエートトレーニングなど

午後2時50分 取材対応

午後3時30分 ホテルへ