球界の功労者をたたえる「2022年野球殿堂入り」が14日、野球殿堂博物館から発表され、東海大の創立者である松前重義氏(故人)が特別表彰で野球殿堂入りした。

松前氏は、学生野球の発展と野球の国際化に貢献した。52年から東海大理事長、学長、総長を歴任。64年に首都大学野球連盟を設立、初代会長に就いた。日本高野連、日本学生野球協会、全日本大学野球連盟の要職も歴任した。東海大相模に三池工を優勝させた原貢監督を招いたことでも知られる。また、東西冷戦下で民間外交を続け、88年にはモスクワ大にソ連初の野球場「松前記念スタジアム」を寄贈。同球場では日米の大学も参加する国際大会が開かれるようになった。92年バルセロナ五輪での野球正式種目採用の布石になったと言われる。

足跡は多岐にわたる。東北帝国大で電気工学を学び、逓信省(後の郵政省など)入省。無装荷ケーブル通信方式を開発した。52年からは衆議院議員も務めた。柔道家でもあった。ゲストスピーチに立った巨人原監督は思い出を披露。学生の頃、松前氏が電話で時の田中首相に「角栄君、日中友好も素晴らしい。しかし、まずはアメリカに行ってあいさつすべきだろう」と話すのを聞いたという。「世界的に大きなことを言われる方でした」と懐かしんだ。【古川真弥】