「年俸120円Jリーガー」としてJ3のYSCC横浜などでプレーし、昨季限りで現役引退して格闘家へ転向した安彦考真(42)が23日、相模原市内でK-1の初代Bigbangヘビー級王者で、現在はクルーザー級で活躍する愛鷹亮(31)と共同トレーニングを行った。

2人は以前から親交があり、自宅は共に相模原市内。愛鷹は自宅にフィジカル強化用の練習場を設けており、安彦がそこでの練習サポートを依頼して今回のタッグが実現した。安彦はサラリーマンからJリーガーへの夢を追いかけ、さらに格闘家へと転身。愛鷹も警察官からプロ格闘家へ転身した経歴を持つなど、もともと何かと共通点は多かった。この日は愛鷹が普段から行っているというデッドリフトなどの基本的な筋力トレーニングを約1時間行い、パンチなどの実践的なテクニックについてもアドバイスを受けた。現役のK-1ファイターからの指導に安彦は「体のここに(疲労が)きているなというのがはっきりわかった。パンチを見せてもらったけど、やっぱり迫力があるし、ギリギリのラインで戦っている人の生命力を感じた。自分も同じように研ぎ澄ましていけるようにしたい」と刺激を受けた様子だった。

今回の機会をきっかけとし、今後も愛鷹から継続した練習アドバイスなどを受けていくという。このほか今月は知人から紹介を受けた元プロボクサーで現在はストレッチ専門トレーナーの後藤俊光氏からも協力を快諾されており、徐々に周囲のサポート体制も整いつつある。安彦は「かなり強力なパートナーたちが集まってくれている。そばにいてくれる人がいるのは大きい。その恩に全力で応えて、その人たちをどう喜ばすかを必死に考えたい」と力を込めた。

安彦との初コラボレーションを果たした愛鷹は「(安彦は)やっぱり下半身はしっかりしていました。上半身の引き込む力とか、組んだときの力は競技をやったことがないと弱いと思うので、後背筋や僧帽筋を鍛えていきたい。やっぱり勝ってほしいですし、教えられることは教えていきたい」と振り返った。自身も現在は昨年行った両目の網膜剥離手術や、右太もも筋断裂のけがなどから復帰し、3月に予定する約1年ぶりの試合へむけてトレーニングを積む最中。安彦の格闘家転向を聞いた際は「驚いたけど、安彦さんがクレイジーというのは昔からわかっていた」と受け止め「チャレンジするのは自由ですし、元気をもらえる人もいると思う。頑張ってほしい」とエールを送った。

安彦は39歳の時に20代の頃に1度は諦めたJリーガーへの再挑戦を決意し、18年に練習生を経てJ2水戸とプロ契約。19年からYS横浜へ移籍し、同年の開幕戦で41歳1カ月9日で途中出場してプロ初出場を飾り、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。年俸120円の“ほぼ0円”契約も話題となり、昨年12月のJ3最終節後に競技経験のない格闘家への転向を発表していた。【松尾幸之介】