東日本ボクシング協会は10日、都内で理事会を開き、51年ぶりに最重量ヘビー級(90・7キロ以上)の日本ランキングを復活させることを決めた。現在はミドル級(72・5キロ以下)までしかなく、重量級選手はK-1など、他のプロ格闘技に流れていた。復活が正式に決定すれば、ボクシング界全体で、ヘビー級ボクサーの育成、強化を図り、将来的には夢の日本人ヘビー級世界王者誕生を目指す。

 歴史的な1歩になるかもしれない。この日、東日本協会は満場一致で、ヘビー級の日本ランキング復活の方針を決定。同協会の大橋秀行会長は「ヘビー級の世界王者誕生は究極の夢。その夢が見られない現状はおかしい」と狙いを説明した。日本人の体格の大型化が進んだことも、後押ししたようだ。

 日本ヘビー級王者は過去に1人だけ存在する。57年5月、片岡昇(不二)が初代王者に輝いた。だが、その後、挑戦者が現れず、58年1月、同タイトルは保留扱いとされ、事実上日本ランキングも消滅した。現在の日本ランキングの最重量はミドル級。100キロクラスの大型選手も、20キロ以上の過酷な減量をするか、東洋太平洋タイトル、海外の道を選ぶしかなかった。

 ヘビー級の日本ランキングがなかったことで、大型の優秀な人材は、他の格闘技に流れた。ボクシングの道が事実上閉ざさされた現状では仕方がなかった。大橋会長は「K-1のヘビー級選手が挑戦する道も開ける。(プロ格闘家に転向した)石井選手が来ても面白いですね」と、北京五輪柔道100キロ超級金メダリストの石井慧の名を出し、ヘビー級復活後のプランを披露した。

 今後は12月の日本協会理事会で承認を得た上で、ランキングを認定する日本ボクシングコミッション(JBC)に要請する。JBCの安河内剛事務局長も「他の格闘技に流出した人材を食い止め、逆に引き寄せることができればいい」と前向きに話し、早ければ、来春にもランキング復活が実現する。

 90年代には西島洋介山がブームを起こし、米国で活動した。05年3月には183センチ、95キロの高橋良輔(金子)が日本人では初めて東洋太平洋ヘビー級王座に挑んだ。ランキングが消滅した51年前に比べても、日本人の体格は進化した。大型選手育成のシステム確立、他の格闘技からの人材確保など、課題はあるが、最重量級の世界王者誕生の夢へ、日本ボクシング界が動きだした。