ディズニーの新作アニメ「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」(23日公開)には、タイトル通り見たことの無い異世界が広がる。「ベイマックス」のドン・ホール監督が仕掛けたからくりは、冒険ファンタジーにこれでもかと現代世界の問題を絡め、終盤の謎解きとともに、そこに生息する生物たちの「異形」の意味に納得が行く。

舞台は美しい国アヴェロニア。電力源となる不思議な植物「パンド」が豊かさを支えている。バンドの発見者であり、農家としてその生産を続ける名士サーチャーは堅実な性格ゆえに、行方不明になっている冒険家の父イェーガーにコンプレックスを抱いている。息子イーサンがその父に似てきたことには複雑な思いがある。

パンド発見から何十年も経ったある日、その貴重なエネルギー源が突然力を失い始める。原因を探るため、大統領から依頼されたサーチャーはバンドの根の奥に広がる地底世界に探索の旅に出る。

ひょんなことから同行することになった妻メリディアンは、どんな乗り物もこなす持ち前の操縦能力で巨大な探査船を自在に動かす。息子イーサンと愛犬レジェンドも何かと頼りになる。そして父イェーガーとも再会するが…。

造形には並々ならぬ労力を割いたのだろう。地底世界に登場する生物たちの形状は、単純化しているようでどこかで見た親しみがあり、探査船には宮崎アニメで見たような牧歌的な味わいがある。

冒険の旅には親子3代の対立構図が絡み、ストーリーの軸となる。一方で、一家は人種やジェンダー、ペットの障がいなど、従来ならそれぞれが一編の題材になりそうなギャップを抱えているが、そこはさらっと流して、偏見が無いのは当たり前の世界を見せつける。全体をくくる謎解きは、エネルギー問題や地球温暖化への「警鐘」につなげている。ちょっと気配りがいきすぎているようにも思うが、子どもたちに見せたくなるファミリー映画の王道であることは間違いない。

日本語版で主役サーチャーを吹き替えたのは原田泰造。表情1つ1つにリンクする好演で、まるで、原田自身をコピーしたアバターのように見えた。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)