人気司会者ジミー・キンメルの保守系政治活動家チャーリー・カークさんが射殺された事件を巡る発言が要因で、2003年から続く深夜のトーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」が無期限で放送中止となったことが波紋を広げる中、ABCテレビを所有するウォルト・ディズニーが放送再開を発表しました。
ABCテレビで放送される唯一の深夜トーク番組で20年以上にわたって司会を務めてきたキンメルは、番組のモノローグで毎回ウィットに富んだ時事ネタを披露しており、トランプ大統領をやゆすることも珍しくありません。今回問題となったのは、「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)の連中がチャーリー・カークを殺害した若者を自分たちの仲間ではないと決めつけようと躍起になっている」と発言したことで、連邦通信委員会(FCC)委員長による圧力を受けたABCが放送中止を発表する事態となっていました。
これを機に、言論の自由の侵害や政府による検閲行為を疑う声が上がり、親会社ディズニーをボイコットするよう呼びかける抗議デモも勃発。各局の深夜トーク番組の司会者やハリウッド俳優まで多くの著名人も抗議の声を上げ、言論の自由を巡る議論が白熱する中、1週間あまりで事態が急転直下の展開を見せています。
ディズニー側は、「国内の感情の高まりを悪化させないため」「一部の発言が無神経だと感じた」と理由を説明した上で、キンメルと話し合いを重ねてきたと述べていますが、今回の件でキンメル擁護と共にディズニーを批判したセレブも少なくありませんでした。
自身の番組も7月に突然今シーズン限りでの打ち切りが発表されたCBSテレビの「ザ・レイト・ショー」で司会を務めるスティーヴン・コルベアは、「今夜、私たちは皆、ジミー・キンメルです」と番組で語り、「昨日、トランプ大統領のFCC委員長からの脅迫を受け、ABCはキンメルの放送を無期限に停止しました。これは露骨な検閲です。独裁者には一歩も譲ることはできません」と、大統領を名指しで批判。「私の価値観が何か知っていますか?言論の自由です。この露骨な言論の自由への侵害に、全米の人々が衝撃を受けています」と述べ、キンメルへ連帯感を示しました。
また、NBCテレビの深夜トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」で司会を務めるジミー・ファロンは、「一体何事だ? 何が起こっているんだ?」と誰もが思っていると切り出し、「今朝起きたら100通ものメールが届いていました。『番組が打ち切られて残念だ』と。それは僕じゃない、ジミー・キンメルだという感じだった」とジョークを交えながらこの問題に言及。「ジミー・キンメルのことは知っています。彼は誠実で、面白く、信じられないほど親切な男です。早く戻ってくることを願っています」と話し、「才能がない」とするトランプ大統領の発言を否定する形で復帰を要望していました。
同じくNBCで放送されている「レイト・ナイト」の司会を務めるセス・マイヤーズも、「この話を始める前に言っておきたいのですが、私は常にトランプ氏を敬愛してきました。彼は先見の明があり、革新者であり、偉大な大統領であり、さらに素晴らしいゴルファーだと信じてきました。もし私が彼について何か否定的なことを言っているのを見たことがあるなら、それはAI(人工知能)の仕業です。数年前に私が、彼についてジョークを言っている動画がネット上にあると聞きましたが、あれは明らかにディープフェイクです」とユーモアたっぷりにトランプ大統領を皮肉り、「私たちは皆、表現の自由の原則を守らなければなりません」と訴えています。ちなみに、ファロンもマイヤーズもトランプ大統領から「次の標的」として名指しされている人物です。
毒舌ラジオDJとして知られるハワード・スターンは、「ABCがこんな立場に立たされなければならないこと自体が残念」だと語って番組の中止を選択せざるを得なかった状況に同情を示すも、「誰かが立ち上がり、『もう十分だ、私たちは屈服しない』と言わなければならない」とコメント。「今朝私がやったことは、ディズニー+を解約したことだ。ジミーに対する彼らのやり方を支持しないということを、財布の紐で示そうとしているのだ」と語り、ディズニーのボイコットを宣言。
『グラディエーターII英雄を呼ぶ男』などで知られ、マーベルとディズニー傘下の20世紀スタジオが共同製作する映画「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」に主演する俳優ペドロ・パスカルは、自身のインスタグラムに番組に出演した際のキンメルとのツーショット写真を投稿し、「あなたと共にある」「言論の自由を守り、民主主義を守ろう」とつづってキンメル支持を表明。ファンからは称賛の声が上がっていました。
また、マーベル作品でハルクを演じる俳優マーク・ラファロは、「キンメルの番組が永久に打ち切られたら、ディズニーの株価はさらに大幅に下落するだろう」「ディズニーはアメリカを壊した側にはなりたくない」とSNSに投稿して、ディズニーを非難していました。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)





