犯罪との戦いを始めて2年目のバットマンを描いている。不動の人気を誇るダークなヒーロー像は、クリストファー・ノーラン監督=クリスチャン・ベール主演の「ダークナイト」3部作で極まった感があるが、マット・リーブス監督=ロバート・パティンソン主演の仕切り直しは、未完成のヒーローの試行錯誤感が魅力になっている。

悪党との戦いにも不器用さが残り、パンチも真芯を外してリアルに痛そうだ。パティンソンは「トワイライト」シリーズの美青年の印象が強く、痛々しい感じがよく出ている。ストイックにとがっている。

空飛ぶシーンにムササビスーツ風のアイテムが登場するなど、リーブス監督は「現実」を巧みに織り込んで、説得力を持たせるすべにたけている。

敵役はナゾナゾでバットマンをあざ笑うリドラー。「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)のポール・ダノが、SNS時代の今風イメージを巧みに醸している。コリン・ファレルのペンギンマンは「アンタッチャブル」(87年)でロバート・デ・ニーロが演じたカポネを思い出させる怪演だ。リーブス=パティンソン版の続編が楽しみだ。【相原斉】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)