10月29日に自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕され、同30日に釈放された俳優伊藤健太郎(23)の主演映画「十二単衣を着た悪魔」の公開記念舞台あいさつが7日、東京・新宿ピカデリーで行われた。冒頭で、製作&配給のキノフィルムズから、伊藤の登壇中止に関する説明があった。

「本日は主演の伊藤健太郎さんのご登壇は、ございません。まずは、今回の事件で被害を受けた方々に、謹んでお見舞いを申し上げますとともに、1日も早いご回復をお祈り申し上げます。上映の決定については、さまざまなご意見があることと思いますが、多くの方々から映画公開に対するメッセージを頂いたこと、そして大勢のスタッフ、キャストが長い時間をかけて尽力してきたことに対して報いたいという思いから、配給会社として決断したものとなります。関係各社様におかれましては、ご理解、ご協力をいただきまして、まことにありがとうございました」

その上で「舞台あいさつは、映画公開についてもそうであるように、映画を楽しみにしてくださった、お客さまへの機会を作ることが趣旨となりますので、これより先は伊藤さんのお話を控えさせていただきます」と、黒木瞳(60)三吉彩花(24)、村井良大(32)、笹野高史(72)が登壇以後は、伊藤の話をしない旨、説明があった。

黒木監督は登壇し「11月6日、初日を迎えました。昨日、ご覧いただいた全国の方に感謝します。たった今、ご覧くださいました皆様、本当にありがとうございます」と観客に感謝した。その上で「私事ですが、85年に宝塚を卒業しまして、86年に映画『化身』で出合いました東陽一監督に『映画というものは、僕1人で作り上げるものじゃないんだよ。スタッフ全員、そして、あなたを含め出演者全員、みんなの力で作り上げる、そんな総合芸術だ』と教わりました。ショートムービーも含め3作品、監督させていただきました。今回も出演者、スタッフのみんなに支えられて完成することが出来ました。映画はその後は、お客さまが育てるもの。今日は映画をご覧になってくださって、ありがとうございました」とあいさつした。

キノフィルムズは10月31日に、当初の予定通り11月6日に公開することを発表していた。社長を務める木下グループの木下直哉CEOは文書を発表し「逮捕されてからの数日間、事実確認をしながら協議を重ねてまいりましたが、釈放されたことを受け、予定通り全国の劇場にて公開させていただく運びとなりました」と説明した。

その上で「決定に対しましてはさまざまなご意見があることと存じますが、釈放後に本作関係者への自筆の謝罪書面を弊方が受け取り」と、伊藤本人が釈放後、直筆の謝罪文を送ったことを明らかにした。

また「『個人の罪と作品は違う』という弊社の見解のもと、本編の再編集は行わずに、そのままの内容で上映をさせていただきます」と、伊藤の出演シーンをカットしたり、再編集しないで公開することも、併せて発表している。

「十二単衣を着た悪魔」は、黒木が監督を務めた長編映画2作目で、自身が番組を持つニッポン放送に貼られた伊藤のポスターを見て、一目ぼれして主演に起用した意欲作だった。それが9月に、出演した伊勢谷友介被告(44)が大麻取締法違反容疑(所持)で逮捕、起訴された。さらに公開を8日後に控えた10月29日に今度は主演の伊藤が逮捕される前代未聞の事態に陥っていた。

伊藤は劇中で、ひょんなことから「源氏物語」の世界にトリップした、就職試験59連敗中のフリーター伊藤雷、三吉は弘徽殿女御、村井は木村、笹野は良喬を演じた。