英国のチャールズ皇太子(73)の慈善団体であるプリンス・オブ・ウェールズ慈善基金(PWCF)が、2001年の米同時多発テロの首謀者で国際テロ組織「アルカイダ」の指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者の異母兄弟から100万ポンドの寄付金を受け取っていたと英サンデー・タイムズ紙が報じた。

サウジアラビアの富豪ビンラディン家の家長バクル氏とその兄弟シャフィク氏から皇太子は個人的に慈善団体を受取人として寄付を受け取ったと同紙は伝えている。皇太子の公邸クラレンス・ハウスの広報は、寄付を受けたことは認めているものの、「PWCFはこの寄付を受け入れる際に、徹底した調査が行われたことを断言します」と声明を出し、受け入れの決定は同団体の管理委員会のみが行ったものであると報道を否定している。

同紙によると、ビンラディン家が不正を行ったとの指摘はないものの、皇太子の側近は「公になれば国民の怒りをかう」と警告し、寄付を受け取らないよう進言したが、皇太子は聞き入れなかったという。

皇太子は2011年に米軍が潜伏先のパキスタンでビンラディン容疑者を殺害した2年後の13年10月にクラレンス・ハウスでバクル氏と面会した後、皇太子が受け取りに同意し、PWCFが受取先になったと伝えている。

チャールズ皇太子を巡っては先日も、中東カタールの元首相から現金100万ユーロが入ったスーツケースを受け取ったとサンデー・タイムズ紙で報じられたばかり。2011年から15年にかけて計3回、総額300万ユーロを現金で受け取っていたとの報道に対し、クラレンス・ハウスは適切な手続きを経てPWCFに支払われたと説明していた。

持続可能なコミュニティーを構築することを使命として1979年に設立されたPWCFは、環境保護や教育、健康など幅広い分野における優れた活動を行う英国内の非営利組織に助成金を提供している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)