東京オリンピック競泳の女子400メートル個人メドレーの金メダリスト・大橋悠依(25=イトマン東進)を小学3年から高校3年まで指導した奥谷直史さん(53)が所長を務める堅田イトマンスポーツクラブ(滋賀県大津市)では28日、同級生ら関係者約40人が集まり、2冠のかかった決勝の200メートル個人メドレーをテレビ観戦した。

レース直前には、プールで行われていたレッスンも一時中断し、シニアスイマーも窓越しに声援を送った。

レース中は「行け! 悠依」とマスク越しに大声援を送った。金メダルの瞬間、全員が抱き合って快挙を喜んだ。

日本競泳史上、女子では初の2冠の快挙に奥谷さんは「信じていたけど、まさか金メダルとは…。400メートルの金メダルの後も気持ちをつないで、やり遂げてくれた」と涙をにじませ、「もう興奮して何を話しているか、分からない」と泣き笑いの表情を見せた。

大橋とは同級生で彦根イトマンで小学校から高校3年まで指導を受けた草津市の会社員、岸本悠花さん(25)は「悠依ちゃん、すごい!」と大喜び。同級生で最後までスクールに残ったのは岸本さんと大橋の2人だけだった。ライバルだった岸本さんが高校3年のとき、競技をやめる決断をしたとき、大橋から1通の手紙をもらった。

手紙で打ち明けられたのは小学高学年のときのあるレースのことだった。「あのレースのことを覚えていたとは…。本当に負けずぎらいだった」と岸本さん。 全国大会で出場した2人は同種目決勝で岸本さんがタッチの差で勝利した。手紙には「あの負けがあったからここまでやってこれた」と記されていたという。 大橋の好きなアイドルは嵐だといい、大野智が大好きだという。岸本さんは大橋が大学進学後も年に1、2回、帰郷時に奥谷さんと3人で食事をするなど交流を続けてきた。

奥谷さんは「いままでオリンピックと水泳のことしか考えられなかったと思うので、帰ってきたら3人で楽しく食事に行きたい」。大橋の大好きな焼き肉で「2冠」を祝う。【松浦隆司】