各国の新シーズンが始まりました。今回はその各国のリーグに焦点をあてたいと思います。

Jリーグの賞金システムをご存じでしょうか? 近年はDAZN(ダゾーン)による放映権の契約がまとまったこともあり、大きな資金力を保持できているようです。

◆Jリーグ 年間1位=3億円、2位=1億2000万円、3位=6000万円

◆ルヴァン杯 優勝=1億5000万円、準優勝=5000万円、3位(2チーム)=2000万円

これに(1)均等配当金(2)理念強化分配金(3)降格救済金(4)ACLサポート金、が当てられることになっており、リーグ戦優勝チームは総額22億円近くを受け取ることになります。トップチームの年間予算が70億円前後であることを考えると、リーグ優勝による賞金の受け取りは非常に大きなものになります。

次に今話題のクリスティアーノ・ロナウド選手の移籍したイタリアはどうでしょうか? イタリアではTV放映権を国内外に分けて考えるシステムを取り入れており、国内TV放映権の売り上げを3種に分けて分配しています。1、全チーム等分(40%) 2、救済費用(30%) 3、過去の成績に応じた振り分け(30%) という形をとっており、ここに海外向けTV放映権の売り上げを均等に分ける形になります(40%を均等に分け、60%をトップ10に入ったチームに順位に応じて配分)。2016-17シーズンに優勝したユベントスは1億2280万ユーロ(約160億円)の賞金を得たようです。

放映権が非常に大きな鍵を握っている各国のリーグ優勝賞金事情ですが、トップはやはりプレミアリーグ。当然賞金と分配金に分かれてはいるものの、その額が他リーグとは様子が異なります。

1位は3800万ポンド(約53億2000万円)で順位が下がるごとに190万ポンド(2660万円)下がっていきます(トップと最下位の差は約50億円)。ここに全チーム同額の配分金が約3500万ポンド(約49億円)、施設運営サポート費(チームごとに異なる金額)が割り当てられており、最小で1200万ポンド、最高で3400万ポンド(日本円で約16億8000万円から約47億6000万円)、海外放映権均等分配金が3900万ポンド(約54億6000万円)、広告分配金4760万ポンド(約66億6000万円)が振り分けられ、16-17シーズントップだったチェルシーは合計で150万ポンド以上(約210億円以上)を受け取っている計算になります。

イタリアやプレミアリーグのシステムでは放映権や広告収入をいかに当分し、多くのチームにチャンスを与え、競争率を高めるかがひとつ鍵となっているように見えます。しかしながらプレミアリーグでは貢献度の高いチーム(上位チーム)はリーグ戦での賞金配分金額にもっと大きな差をつけるべきである意見が出るなど、クラブサイドは納得がいっていない側面もあります。

そういう意味では、レアル・マドリードとバルセロナの2チームだけが突出しているスペインリーグは過渡期にあるかもしれません。スペインでは長年それぞれのクラブがテレビ放映権を独自で交渉していました。しかしテバス会長はリーグにおけるチーム格差が埋まらないことから、均等配分性に強制的に変更。これが上位チームからは不満が出るも、下位チームにとってみれば恩恵にあずからない手はなく、これが競争力を生み出し、より魅力のあるリーグへと変貌しつつあります。

スペインリーグ

1、等分配当金:5000万ユーロが全チームに等分配当

2、収益配分金:過去5年の成績を加味した配分金

3、リソース・ジェネレーション:クラブ会員数、チケット販売数、スタジアム動員数などを加味した分配金

ちなみに16-17シーズン、優勝したレアル・マドリードは合計で1億5000万ユーロ(195億円)を、2位のバルセロナは1億4800万ユーロ(192億4000万円)を、3位のアトレティコ・マドリードは1億1600万ユーロ(150億8000万円)の賞金。年間予算がほぼ日本のトップの浦和レッズと同額のエイバルでも8位で9400万ユーロ(122億2000万円)を受け取りました。放映権の販売がいかにリーグを魅力的なものにしていくか非常に大きな鍵を握っています。

次回は選手の移籍金について追求して見たいと思います。【酒井浩之】

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)