2010年ワールドカップ南アフリカ大会に日本代表として出場した、J2アルビレックス新潟FW矢野貴章(34)が24日、ロシア大会1次リーグ第2戦・セネガル戦を戦う日本代表にエールを送りつつ、セネガルは他のアフリカ諸国の代表チームとは違うと警鐘を鳴らした。

 矢野はこの日、FC町田ゼルビア戦に出場後、GK川島永嗣(35=メッス)、MF長谷部誠(34=フランクフルト)ら、南アフリカ大会をともに戦った選手が名を連ねる、日本代表への思いを語った。「(セネガルは)強い相手だと思いますけど、頑張って欲しいですよね。初戦に勝って、盛り上がったし、きっとチームの状態も良くなってると思う。だからこそ、今日の試合は非常に大事」。

 初戦の重要性は、10年南アフリカ大会に出場した日本代表で肌身で感じている。岡田武史監督が率いた日本代表は、自分たちが主導権を握る攻撃サッカーの構築に取り組んだものの、なかなか結果を出せず、同監督は本大会直前に攻撃から守備へと戦術のかじを大きく切った。そして、現在も代表でプレーする本田圭佑(31=パチューカ)を1トップに据え、主将をDF中沢佑二から長谷部へ、正GKを楢崎正剛から川島に代えた。

 迎えた6月14日の南アフリカ大会初戦で、アフリカの強豪・カメルーンに前半39分の本田のゴールで1-0で勝ち、勢いに乗って自国開催だった02年日韓大会以来の、そして海外のワールドカップでは初めての決勝トーナメント進出を果たした。矢野はカメルーン戦の後半37分に出場し、前線からの献身的な走り、プレスでチームの完封締めに貢献した。「初戦で勝ったことによって、一体感がすごく生まれる。短期決戦…初戦で勝てたのは大きい」と自らの経験を元に語った。

 一方で、自らが勝ったカメルーンをはじめ、身体を中心とした高い個の能力を押し出すアフリカ諸国と、セネガルはひと味違うと口にした。

 矢野 セネガルとポーランドの試合を見たけれど、セネガルは身体能力が高く、スピードが速くて、個人の能力で1人で攻撃を完結できる選手がいる。アフリカは身体能力が強くて速いけれど、セネガルは今までのアフリカよりも、すごく守備が整備されていて、個人だけじゃなくチームとしてボールを奪う能力が、すごく高い感じがした。

 一方で、日本代表も進化していると強調する。「日本はほとんどが海外でプレーしている選手だし、そういう(セネガル代表に選ばれているような)選手と対戦している。そういう意味では4、8年前と比べると、日本の力も全然、違うのかなと思いますよね」。

 セネガル戦に期待することを聞くと「やっぱり、勝つことでサッカー全体が盛り上がるし、日本自体も盛り上がる。勝ってもらうのが1番」と即答した。その上で「僕が言えるような立場ではないですけど、長谷部さんや(川島)永嗣もそうですけど、同じ年代の選手たちがああいったピッチで戦っているのは、僕自身も勇気をもらうし、ああいうプレーを見て、頑張らなきゃいけないなと、常に思っていますね」と代表に刺激を受け日々、取り組んでいると心中を吐露した。そして「(試合は)見ますよ…楽しみにしていますから」と言い、笑顔で町田陸上競技場を後にした。【村上幸将】