3年連続43度目出場の弘前工(青森)が2-1で小松大谷(石川)に競り勝ち、17年以来の「春高1勝」を手にした。沢頭俊縁(3年)がチーム最多15得点、190センチの高さを誇る鳴海魁馬主将(3年)が14得点と、ダブルエースがチームを勝利に導いた。

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まずは鬼門の「初陣」を乗り越えた。1-1で突入したファイナルセット(第3S)。弘前工が24-18でマッチポイントをつかむ。最後は沢頭がチーム最多15得点目となるウイニングスパイクをたたき込んだ。6年ぶりとなる初戦突破だ。過去2大会はフルセットの末に初戦で涙をのんだ。春藤裕和監督(50)は「6年ぶり。久々の勝利です。まずはホッとしています」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

鳴海が決めれば、沢頭も負けじと決める。弘前工のダブルエースが全国舞台で実力を発揮した。第1S。190センチの高さを誇る鳴海は強烈なスパイクと、高いブロックでチームに流れを呼び込み、同Sを先取した。1-1で迎えた運命の第3Sでは沢頭が勝利へ執念をたぎらせた。最終S、1点ビハインド(6-7)の状況から3連続得点で息を吹き返す。同Sだけで計7得点。尻上がりに調子を上げていった。「入りが硬くなった。徐々に緊張感にも慣れて、冷静に(スパイクを)決め切ることができたと思う」と沢頭はうなずいた。

中学時代はライバル関係にあった2人が、高校では「ダブルエース」として同じコートに立ち、チームの勝利を目指す。コンビ結成3年目。今大会が集大成となる。鳴海は「(沢頭が)何も言わなくても(思っていることは)分かっているし、伝わってくる」と言う。築いてきた固い絆で勝ち上がっていく。

目標とする「全国8強」へ、最初のヤマ場となる強豪・駿台学園(東京)との2回戦に今日5日臨む。鳴海は「勝って恩返しがしたい」と青森への思いも胸に秘めている。6年ぶりの「春高1勝」で終わる気はない。【佐藤究】

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