広島(ワイルドカード)が琉球(西地区2位)を65ー50で下し、対戦成績を2勝1敗として初優勝を飾った。ワイルドカードから頂点まで駆け上がったのは、21-22シーズンの宇都宮以来で2度目。B2から昇格したチームの優勝は初めてだ。「GEKOKUJO JAKE」(下克上じゃけぇ)を合言葉に次々と優勝候補を破ったトンボ軍団(ドラゴンフライズ)が新たな歴史をつくった。MVPには広島の山崎稜(31)が選ばれた。
プロ2年目、23歳になったばかりの中村の背中が大きく見えた。第4クオーター(Q)残り4分16秒。きれいな放物線を描き、3点シュートが決まる。昨季王者・琉球に10点差をつけ、勝利を決定付けた。試合終了と同時に、ベンチ脇にいた先輩司令塔・寺嶋良に駆け寄り、しっかりと抱き合った。
「最高です。ファイナルという舞台で楽しくやることができました。挑戦者の気持ちでやろうと思っていたので、自然に笑顔も出ました」
23回目の誕生日だった3月3日のホーム千葉J戦。衝撃的な出来事が起きた。開幕2カード目から全試合先発出場していた大黒柱の寺嶋が右膝に大けが負い、長期離脱。それ以降、中村が先発に抜てきされた。
「3月の時も良さんから『頼んだぞ』というメールが来た。今回のCSの前にも同じ言葉をもらいました」
新司令塔の中村を中心に結束したチームは、レギュラーシーズンの残り19試合を15勝4敗の高勝率で突っ走り、ワイルドカードに滑り込む。CSでも中地区1位の三遠を2連勝で一蹴。名古屋Dとの準決勝は2勝1敗で勝ち上がり、決勝の舞台に立っていた。
中村は決勝の第2、3戦でともに2ケタ得点をマーク。ファイナルで顕著な活躍を見せた選手に贈られる「ファイナル賞」を受賞し、代役以上の存在感をみせた。「良さんのためにという思いが強かった。みんなも同じ気持ちだったと思う」。その寺嶋は試合終了のブザーが鳴る前に泣いていた。チームの一体感が下克上を生んだ。
21年に就任後、守備やリバウンドを重視したチームづくりを行ったカイル・ミリング監督(49)は「最大の強みはチームスピリット。自分たちを信じて努力を続けた選手たちを尊敬します」と話した。プロ野球のカープ、Jリーグのサンフレッチェに人気面で先行されていたが、注目度も急上昇中。トンボ軍団にはまだまだ伸びしろがありそうだ。【沢田啓太郎】
◆中村拓人(なかむら・たくと)2001年3月3日生まれ、愛知県出身。中部第一-大東文化大。大学時代に特別指定選手として北海道、広島でプレーし、22年に広島とプロ契約した。U18、U22代表。兄浩陸もFE名古屋でプレーしている。184センチ、79キロ。ポイントガード。


