<バレーボール:全日本高校選手権:雄物川2-1大塚>◇6日◇男子準々決勝◇東京体育館

 男子で雄物川(秋田)が3年ぶりのベスト4進出を遂げた。3回戦で東洋(東京)にストレート勝ち。準々決勝では大塚(大阪)に逆転勝ちした。主将の川村悠希(3年)と身長201センチの大型ルーキー鈴木祐貴(1年)がチームを引っ張り、激戦を制した。

 雄物川が驚異的な粘りをみせた。3回戦の東洋戦は2セットともジュースを競り勝った。準々決勝の大塚戦は第1セットを失い、第2セットを僅差で取ると、第3セットは32-30で死闘を制した。「ゆうき」コンビの川村と鈴木祐が要所でスパイクを決め、苦しい戦いを勝利に導いた。

 勝利の瞬間、選手たちは雄たけびを上げ、応援席から大歓声が起こった。「大塚と当たり、倒すのがとりあえずの目標だった」と川村。昨年のこの大会初戦、そして高校総体(準々決勝)、国体(準決勝)と3度敗れていた。4度目の正直。宇佐美義和監督(62)も「やっと勝った!」と喜んだ。

 鈴木祐は「楽しかった」と笑顔をみせた。ハードな1日2試合。準々決勝の前は疲れで動けなかった。だがいざ試合が始まると豪快なスパイクを相手コートにたたきつけた。準決勝以降へ向け「失うものはない。1つ1つのプレーを全力でやるだけ」という。宇佐美監督は「鈴木の成長が大きい。日本男子バレーの宝です」と目を細めた。

 チームの粘りの秘密を、川村は「絶対ボールを落とさない練習をかなりやってきたから」と明かした。昨年の初戦で大塚に敗れた悔し涙を、うれし涙に変えた。主将としてエースとしてチームを引っ張り、宿舎では同室の鈴木祐の面倒も見る。前夜は「早く寝よう」と午後9時半には消灯。朝7時までぐっすり眠った。

 雄物川はこれまで高校総体、国体、この「春高バレー」ともベスト4進出が最高。決勝進出はまだない。チーム一丸で壁を越え、さらには悲願の日本一を取るチャンスをつかんだ。【北村宏平】