<ブンデスリーガ:ドルトムント2-0ボルシアMG>◇21日◇ドルトムント

 日本代表MF香川真司(23)の所属するドルトムントが、2年連続8度目の優勝を飾った。香川はトップ下として後半28分までプレー。今季13点目となるチーム2点目を挙げるなど、MVP候補にも挙がっている今季を象徴するような活躍で勝利に貢献。連覇を置きみやげに、来季のビッグクラブへの移籍もいよいよ現実味を帯びてきた。

 連覇を確信したクロップ監督が“フライング”した。ドルトムント1点リードの後半14分。香川はレバンドフスキの左後方からのパスをDF裏に抜けながら受けGKと1対1に。左足のファーストタッチでGKをかわし、左足シュートをたたき込んだ。興奮したクロップ監督はベンチを飛び出し、ピッチ外で喜んでいた香川へ数十メートルダッシュ。試合中にもかかわらず、抱きかかえて喜んだ。

 試合前、別会場では2位Bミュンヘンがブレーメンに逆転勝ち。ドルトムントがこの日優勝を決めるには、勝利しかなくなった。そんな状況で、香川の今季13点目などで連覇を達成。チームは26戦無敗となり、既に塗り替えたリーグ記録をさらに伸ばした。香川は「試合中も泣きそうになった。本当に幸せ。苦しいこともあった中で優勝できて、仲間やファンに感謝したい」と話した。

 序盤こそ調子の上がらない試合もあったが、ケガで長期離脱を余儀なくされた昨季と違い、今季は欠場わずか3試合。20点でチーム得点王のレバンドフスキらと並び、シーズンMVPの最有力候補だ。クラブは、来年6月まで契約を残す香川に、16年末までの契約延長を打診しているが、移籍金が1500万ユーロ(約15億7500万円)にも高騰しているとされる香川に見合う年俸を支払えそうにない。それでも連覇が置き土産となれば、今夏移籍となってもファンは拍手で送り出すだろう。

 来季所属先として有力なのはプレミアリーグ最多20度目の優勝が近づいてきたマンチェスターUと、セリエAの名門ACミラン。マンUは元韓国代表MF朴智星の後継者としての役割とアジア市場拡大のため、獲得に全力を注いでおり、ACミランも獲得リストの上位に挙げる。

 香川自身「欧州チャンピオンズリーグでもっと上を見てみたい。スペイン、イタリア、プレミア。(CLに)出ているクラブならこだわりはない」と話している。既にCL出場を決めているマンU、出場濃厚なACミランは希望と合致。さらに独ビルト紙によれば、アーセナルからオファーが届き、チェルシーの名前も浮上しているという。

 この日の試合後「点を決めた後に、監督がああいうふうに喜びを表現してくれて。転びそうになってましたけど(笑い)もう最高」と充実感を漂わせた香川。その上で「レアルとバルサはこういう試合を毎試合続けている。CLとリーグでギリギリの戦いを常にしている。メンタル的に恐ろしい。そういう意味ではまた新たな課題が出来た」。自らの向上のため、移籍を希望するかのような言葉も口にした。【鈴木智貴通信員】