来年6月のW杯ブラジル大会の1次リーグ組み合わせが決まり、出場国の試合会場も決まった。ブラジルの新聞「エスタド・デ・サンパウロ」は、出場国の会場間の総距離を発表。最も長い米国は5588キロ。東京-デリー(インド)間という距離の中で過酷な戦いを強いられる。会場間の距離だけでなく、日本の国土の約23倍という東西南北に広いブラジルは、気候の差も激しい。環境に順応するための戦いも、ブラジルでは勝利のカギとなる。

 試合会場はブラジル国内12カ所に散らばる。1次リーグはそれぞれ3会場で3試合を戦うが、1試合目を起点に、2試合目、3試合目の会場を1本の線にして総距離を算出した。すると不公平とも言える大きな格差が現れた。最短はベルギーの726キロから、最長は米国の5588キロ。米国の総距離は、東京-インドの首都デリー間に匹敵する。

 これは実際の移動とは異なる。各チームはブラジル国内にベースキャンプを敷くため、キャンプ地から会場へ出向き、再びキャンプ地へ戻る。それでも抽選会場では、試合会場に一喜一憂する姿があった。

 米国のクリンスマン監督は思わず「ワースト中のワースト」と口走った。母国ドイツとの対戦など、死の組といわれる組み合わせもあったが、それ以上に試合会場に衝撃を受けた。「我々は、コーチたちと難しい日程について話し合ってきた。みんな、マナウスだけはやめてくれって願っていたよ。なのに、マナウスを引き当ててしまった」。

 同じブラジルでも、高温多湿で、気温が30度以上というマナウスは、出場国関係者から恐れられてきた。イタリア連盟の幹部が「マナウスだけは避けたい」と口にし、マナウス市長から「我々はイタリアを歓迎しない」と非難されたこともあった。しかし、イタリアは初戦をマナウスで戦うという皮肉な結果となった。

 米国と同じG組でも、ドイツは喜びを隠せない。高温多湿のマナウスを回避し、気温は高いが気候が同じ北部大西洋の3会場での試合。総距離も1658キロで、キャンプ地を介しての移動も問題なさそうだ。また、最も喜んでいるのはベルギーだろう。気温が低い南部のサンパウロ周辺の3会場。ウィルモッツ監督は「相手チームよりも、会場間が近くて楽」と笑顔だ。

 日本はイトゥに拠点を置くことが有力で、レシフェ(対コートジボワール)、ナタル(対ギリシャ)、クイアバ(対コロンビア)と移動する。2777キロは短い方から17番目と無難なところか。磐田にも在籍したブラジル代表のパイション・フィジカルコーチは「ブラジルには最低15日以上前に入って時差と気温に慣れること」と以前に日本へアドバイス。勝利のカギは、広い国土に慣れることだ。

 ◆ナタル&レシフェ

 ブラジル北東部に位置。赤道に近く、熱帯性気候で1年を通じて高温多湿。7月が最も涼しく、6月もそれに準じるものの、平均湿度は80%。昼間は最高気温が30度を超える日も多い。ともに天気が変わりやすく、ブラジルの中では「気象予報士泣かせの地域」と呼ばれる。夕方の通り雨のあとは特に蒸し暑くなる。

 ◆クイアバ

 ブラジルの北西部、南米大陸のほぼ中心に位置する。サバンナ気候に属する。6月はナタル、レシフェほど湿度は高くないものの、日中には強烈な日差しが照りつけ、気温も30度を超えることがある。

 ◆イトゥ

 ブラジル南東部に位置。亜熱帯性気候に属する。1年を通じて気温は16度~22度の間を推移し、6月などの冬は涼しく乾燥しており、肌寒い日もあるが、比較的住みやすい。