<セリエA:パルマ4-5ACミラン>◇14日◇パルマ

 ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が、日本-イタリア間の長距離移動と時差を乗り越え、開幕から2試合連続となるゴールを決めた。日本代表のベネズエラ戦(9日、横浜国際)から中4日で迎えたアウェーのパルマ戦で、定位置となった右のFWで先発。前半25分に先制点をアシストし、1-1の同37分には右クロスをヘディングで合わせて得点。チームの開幕2連勝に貢献した。

 一気にスピードを上げ、DFラインの穴に走り込んだ。1-1の前半37分。本田が右サイドからのクロスに跳び上がり、頭で決めた。完璧なヘディングシュートは8月31日のラツィオとのセリエA開幕戦から2試合連続のゴール。狙い通り、ドンピシャの形に、一瞬驚いたような表情を浮かべた。すぐコーナー付近に歓喜の輪ができる。イタリア代表DFデシリオら同僚が殺到。輪の真ん中で、金髪をなでられ、素直に喜びの笑みを浮かべた。

 得点への意識について問われると「常にそういう気持ちで臨んでいる」と即答。アギーレジャパンと同じ3トップの右でゴールを狙うFWとして得点を求めてピッチに立つ。後半17分までプレーし1得点1アシストで開幕2連勝に貢献。交代時にはアウェーのミランサポーターから拍手が起きた。

 目の前の敵パルマ、チーム内の激しい競争、さらに日本代表選手の宿命といえる長距離移動プラス時差という、3つの敵に打ち勝った。「長時間の移動があった中での試合だったので、調整というのがひとつのテーマだった。その中で結果を出すことができたので、1つ前に進めたかなと思っている」。

 開幕弾を決めたラツィオ戦後に帰国し、新生日本代表の船出となった9月の国際親善試合2試合にフル出場した。9日ベネズエラ戦後には、初ゴールを決めた武藤、柴崎の22歳コンビに対し「彼らをまだまだ意識していない。上を意識している」と発言し、主戦場のセリエAに戻っていった。

 同戦終了から約3時間半後の欧州便に乗って日本をたつ慌ただしさ。これまでは試合後に国内で1泊し翌日の直行便に乗っていたが、インザギ監督の強い意向もあり半日早く出国。翌10日のうちにミラノ郊外の練習場ミラネッロでチームにスピード合流した。同じ海外組の中には、疲労を理由に起用されない選手もいた。今節は本田の鉄人ぶりが際立った。

 15日付のイタリア各紙からも7~7・5点と高く評価された。インザギ監督は「本田には私のアドバイスは必要ない。彼は完璧なプロだし、模範となる選手だ。日本で2試合に出て戻ってきたばかりであることを忘れてはならない。それなのに今日はフレッシュな動きをしていた」と絶賛した。厳しい生存競争の中、ミランの背番号10がたくましさと強さを示した。【波平千種通信員】

 ◆日本人のセリエA開幕戦から2試合連続ゴール

 インテルミラノDF長友佑都が、13-14シーズンのジェノアとの開幕戦と第2節カターニア戦で決めており、本田で2人目。長友は3戦目のユベントス戦は無得点。本田は次節ユベントス戦で日本人初の3戦連発を狙う。

 ◆9日のベネズエラ戦後の本田の移動

 会場の横浜国際総合競技場から羽田空港に移動し、10日午前1時ごろ発の欧州便に搭乗した。約9500キロを約12時間かけ欧州へ。ドイツ国内の経由地で乗り換えて約500キロを約1時間かけてミラノへ。乗り継ぎ時間も含めて日本からミラノまでは約1万キロ、計約15時間かけて移動したことになる。そこから運転手付きの車で約30分の距離にあるミランの練習場へ直行したとみられる。ミラノ-成田の直行便を利用した往路を含めると、移動距離は地球約半周。ちなみに時差はサマータイムで7時間。