<世界陸上>◇17日◇女子棒高跳び決勝◇ベルリン五輪スタジアム

 女王が墜落した。女子棒高跳びで、5メートル05の世界記録を持つエレーナ・イシンバエワ(27=ロシア)が敗れた。4メートル75を失敗し、4メートル80にバーを上げた。だが、2回ともミス。マットの上に落ちると、両手で顔を覆って動けなくなった。まさかの記録なし。3連覇を逃し、04年アテネ五輪から続いていた世界大会の連勝も「4」で止まった。

 金メダルに輝いたアンナ・ロゴフスカ(28=ポーランド)が4メートル75で試技を終えていただけに、4メートル80さえ跳んでいれば、優勝できたはずだった。「今日は何が起きたか、うまく説明できません。すべては完ぺきで、自信もあったし、予選で4メートル70をクリアしていたのに…」。

 思い当たる節はある。春先に左ひざを痛め、テーピングを巻いて出る試合もあった。7月24日のロンドンGPでは、ロゴフスカに負けた。連勝は「18」でストップ。世界選手権でも、復調しきれなかった。

 「もっと低い高さから始めれば良かったとは思わない。4メートル65をクリアしたところで、何の意味もないから」。女王らしく、プライドを示した。「今大会は大事だったけど、ロンドン五輪に向けて頑張りたい。ここから復活するわ」と、早くも闘志を燃やしていた。