「東京エレクトロンスポーツスペシャル第33回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会」が15日、宮城・松島町文化観光交流館前スタート、仙台市陸上競技場ゴールで開催される。6区間42・195キロのコースに27チームが参加して駅伝女王の座を争う。前回優勝のユニバーサルエンターテインメントは、エースの新谷仁美(25)が故障欠場。デンソー、ダイハツ、第一生命の“3D包囲網”がぐっと狭まった。トラックの国際大会代表3人を擁する積水化学も頂点を狙う。世界陸上マラソン銅メダルの福士加代子(31)は、自身9個目の区間賞を懸けて出場する。

 世界陸上1万メートル5位の新谷が故障で出られなくても、ユニバーサルエンターテインメントは優勝候補に挙げられている。戦力的には青山瑠衣(24)の成長が大きい。東日本予選は前年に新谷が独走した3区に出場、他チームのエースたちを抑え、区間賞でトップに立った。「ボルダー合宿できつい練習をしてきたので自信はありました」と言う青山の快走で、新谷抜きでもやれる自信をチーム全体が持つことができた。

 精神的な支柱になっているのはベテランの那須川瑞穂(34)だ。昨年の横浜国際女子マラソンで日本人トップになりながら、世界陸上代表選考に漏れた。一時は落ち込んだが、復活して東日本予選は5区で区間新。勝負を決する走りをした。「彼女が周りを見渡して声をかけているから、エースが欠場しても動揺しない」とチーム関係者は証言する。

 チームの指導は高橋尚子さんを育てた小出義雄氏(74)に委託されている。小出氏の練習は相当にハードだが、青山のように、それをこなした選手は自信が持てる。調整段階になると思い切って練習量を減らしたり、選手個々にアドバイスをしてピークを合わせる。小出氏の手腕は絶妙で、つなぎの区間の選手も必ず区間上位で走らせる。

 那須川は「昨年優勝した喜びを、そう簡単に他チームには渡しません!」と、V2への意気込みと手応えを語った。