<陸上:全日本実業団対抗>◇2日目◇22日◇福岡・博多の森陸上競技場

 男子200メートルは富士通コンビがワンツー。優勝は高瀬慧(23)で20秒59、高平慎士(28)が20秒60で続いた。3位は20秒99。ロンドン五輪で準決勝に進出した2人の強さが際だった。

 大学(順大)の先輩でもある高平は「この2人が並んで競ることはあまりなかったですからね」と感慨深げに話す。「オリンピック後ということで体的にも精神的にも、かなり下がった状態で臨まざるを得ませんでした。そのなかでここまで走れたのは、お互いがモチベーションになったから。高瀬のおかげといっていいと思います」

 大学2年時のアテネ五輪で初代表となり400メートルリレーで4位に入賞、北京五輪で400メートルリレー銅メダリストとなった高平。ロンドンは400メートルリレー5位と五輪3大会連続入賞の実績を残している。

 それに対し高瀬は今回が初代表。リレーは昨年のテグ世界陸上に続き1600メートルリレーを走った。五輪初出場は高平が20歳のシーズンだったのに対し、今年の高瀬は24歳のシーズン。高瀬の方が成長が遅いが、今季は日本選手権をはじめ200メートルで国内無敵の快進撃を続けている。

 高平は「高瀬は社会人になった昨年から代表入りするようになって、もう準決勝まで残るようになった。階段を上るスピードは僕より速い」と後輩の急成長を評価する。ただ、それを脅威と感じているわけではなく、「今後、2人で日本代表に残り続けるためにも、お互いを刺激し合える存在になりたい」と歓迎している。

 高平自身はロンドンで、200メートル決勝進出の壁の高さを感じた。だが、すぐに4年後のリオを考えるのは難しい。大きな大会は経験しつくしているので、モチベーションを上げるのが難しくなってきている面もある。「ロンドン五輪後は日本記録がすごくほしいと思うようになりました」と高平は言う。末續慎吾(32=ミズノ)が日本記録(20秒03)を出して来年で丸10年となる。高平は2009年に走った20秒22(日本歴代3位)がベスト。

 日本記録を破れば、ダイヤモンドリーグにも出場できるようになり、「これまでと違った世界を見られるようになるかもしれない」と期待する。来年のモスクワ世界陸上に臨む意識も、これまでの五輪・世界陸上とは違ってくるはずだ。