<陸上:全日本実業団対抗>◇2日目◇22日◇福岡・博多の森陸上競技場

 男子400メートル障害は日系ブラジル人の杉町マハウ(27=日本ウエルネス)が49秒24で2年ぶり3回目の優勝。2位に10メートル差をつける圧勝だった。「今日の記録は7月のブラジル選手権で出したシーズンベストとタイ。この時期に、ピークを合わせた大会と同じレベルで走れたのは悪くありません」

 ブラジル選手権のタイムはロンドン五輪のA標準を破っていたが、ブラジル陸連が定めた派遣記録に到達していなかった。北京五輪では準決勝に進出するなど実績もあったが、五輪連続出場はかなわなかった。ロンドンに懸ける思いが強かっただけに「この世の終わりかと思った」という。

 杉町は小学校3年時に日本に移住。インターハイは走り高跳びで5位に入賞した。そのバネを生かし、400メートル障害では5台目までインターバル間を12歩で走る。世界のトップで選手でも13~14歩が標準で、12歩の選手は少ない。

 だが、大きなストライドでも切れ味はいまひとつ。トップ選手たちと比べると前半が遅く、その分後半の伸びが大きいのが特徴だったが、今大会はレースパターンを変更した。「前半をいつもより速く入りました。後半もつかどうか不安もありましたが、押し切ることができたのでよかった」

 フラット種目の200メートルのタイムが伸びているため、思いきった展開ができるようになったという。

 4年後のリオ五輪は32歳のシーズン。年齢的には微妙な時期になるが、ロンドン五輪のこの種目を34歳で制したフェリックス・サンチェス(ドミニカ共和国)らベテランの活躍に意を強くした。何より、自分を応援してくれる人たちの気持ちに応えたい。「リオデジャネイロ・オリンピックまでは現役を続けます。いや!

 出ます!

 環境が変わっても、32歳なってても、誰がなんと言っても、やります!」

 母国での五輪に向けた決意を、自身のホームページできっぱりと語っている。