<岐阜国体:陸上>◇10日目◇8日◇岐阜長良川競技場

 成年男子400メートルでライバル対決が実現した。ロンドン五輪1600メートルリレーで1走を走った高瀬慧(23=富士通)と、4走を務めた中野弘幸(23=愛知教大院)。前半から飛ばした高瀬を360メートル付近で中野が逆転し、自己記録に0.01秒と迫る45秒82で2連勝を果たした。

 2人は同学年だが競技タイプは対照的。スピードで勝るのが高瀬で日本選手権は200メートルで優勝した。今回も200メートル通過は21秒3(非公式)で、日本記録を上回るペースだった。「これが僕のスタイル。オリンピックでも同じくらいのスピードで突っ込んでいます。ロンドンでは最後まで持ったのですが…」(高瀬)

 後半のスピード持久に勝るのが中野で「高瀬君に前半で離されるのは想定内のこと。ちょっと焦りましたが、200メートル以降は開かなかったので“もらった”と思いました」と言う。最後の直線で持ち味を発揮して逆転した。

 高瀬は3位まで落ちたが、46秒48と自己記録に0.02秒差と迫る好タイムだった。

 2人とも遅咲きの部類に入り、「大学4年頃から全国の舞台で意識するようになった」(中野)という。だが歩む道は異なる。高瀬は体育学部のある順大から、強豪実業団チームの富士通に進み純粋に世界を目指す。来年はシーズン前にアメリカでトレーニングを積む計画もある。「オリンピックや世界陸上で“特別感”を持ちたくない。外人選手と一緒にトレーニングをして、場慣れすることが重要だと考えました」。

 教育大の大学院生の中野は来年4月から小学校の教員となる。「日本の将来を担う人材を育てる重要な仕事。おろそかにすることはできません。競技との両立は難しいと言われていますが、これまでも工夫して続けることでオリンピックに出ることができました。仕事優先で競技を続け、不可能を可能にしたい」。

 ライバル2人が異なる立場で切磋琢磨すれば、日本の1600メートルリレーのレベルも上がっていく。