陸上のダイヤモンドリーグ第9戦のミーティング・アレヴァが6日、パリで開催される。100メートル&200メートル世界記録保持者のウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)をはじめ、11人のロンドン五輪金メダリストがエントリーしてきた。今季のダイヤモンドリーグのなかでも最も豪華なメンバー。勝てばそのこと自体に意味があるし、8月のモスクワ世界陸上に向けて自身の状態と、有力選手間でのポジションもチェックできる。

 男子200メートルはライバルの米国勢不在でボルトの優勝が濃厚だ。地元フランスのクリストフ・ルメートル(23)も白人選手では歴代2番目の19秒80を持つが、ボルトの前では分が悪い。

 だが、今季のボルトは絶好調とは言いがたい。シーズンベストは100メートルが9秒94、200メートルが19秒79で、タイソン・ゲイ(30=米国)の9秒75と19秒74に後れをとっている。ジャマイカ選手権のレース後には、脚の状態が万全でないとも話していた。「シーズンの出だしが悪かったのは昨年と同じ。ロンドン五輪までに状態を上げられたように、今年も1試合1試合、調子を上げられている。モスクワ世界陸上で世界記録を出すために、高いレベルの試合でモチベーションを上げ、走りのリズムを良くしていくんだ」。

 パリ大会の具体的な目標には言及していないが、ゲイの今季世界最高タイムを上回れば順調と見ていい。

 バーミンガム大会、ローザンヌ大会と直近のダイヤモンドリーグではビッグネームが次々に敗れている。金メダリストとはいえ、少しでも調子を崩したら勝てない。パリでも接戦、激戦となりそうな種目が多い。

 男子400メートルはロンドン五輪のキラニ・ジェームズ(20=グレナダ)と北京五輪のラショーン・メリット(27=米国)、金メダリスト同士が対決する。

 男子110メートル障害世界記録(12秒80)保持者のアリエス・メリット(27=米国)は、故障で5~6月に1カ月以上レースから遠ざかった。バーミンガム大会は2位だが調子は上がっている。ローザンヌ大会で13秒03の今季世界最高をマークしたデビッド・オリバー(31=米国)らとの激戦になりそうだ。

 女子100メートルは五輪連続金メダリストのシェリー・アン・フレイザー・プライス(26=ジャマイカ)に、ブッレシング・オカグバレ(24=ナイジェリア)が挑戦する。本職の走り幅跳びで北京五輪銅メダルのオカグバレだが、今季は短距離種目での活躍が目立つ。バーミンガム大会では200メートルでフレイザー・プライスを破って世界を驚かせた。

 女子走高跳びは今季2メートルを跳んでいる3人が注目を集めそう。V候補筆頭はテグ、ロンドンと連続金メダリストのアンナ・チチェロワ(30=ロシア)だが、銀メダルだったブリジッタ・バーネット(22=米国)が今季は2メートル04でチチェロワを2センチ上回っている。故障から復帰してきた前女王のブランカ・ブラシッチ(29=クロアチア)も調子を上げている。

 多くの種目でモスクワ世界陸上の前哨戦が繰り広げられそうだ。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。