<高校総体:陸上>◇31日◇沖縄県総合運動公園陸上競技場◇女子400メートルリレー決勝

 陸上女子400メートルリレーで浜松市立(静岡)が、悲願の初優勝を飾った。絶対的エース不在の中、1走鈴木海景(みかげ=1年)、2走菅麻衣(3年)、3走名倉彩夏(1年)、アンカー滝井亜由美(3年)と伏兵の4人娘がチームワークでバトンをつないで、この種目の静岡勢では85年以来の栄冠を手にした。

 先頭でバトンを受けたアンカー滝井は、がむしゃらにゴールを目指した。直線ラスト50メートルでさらに後続を引き放し、2位に0秒46差をつける快走でフィニッシュ。バトンを、沖縄の青空に高々と突き上げた。同種目で2年連続予選敗退の悔しさを味わった滝井は「あっという間の100メートルでした。本当に最高です」と顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

 「伏兵」だった4人のバトンワークが、初の栄冠につながった。実は100メートルのタイムは4人とも12秒台。1走鈴木だけが個人100メートルに出場したが、予選敗退だった。ほかの3人は静岡県予選で負けていた。頼れるエースが不在だったことが、4人の発奮材料になった。雨の日でも休むことなく練習し続けてきたバトントスに磨きをかけ、強豪校に挑んだ。

 大会前には4人で相談して、杉井将彦監督にオーダーを変更してもらった。これまで2走だった滝井をアンカーに据え、菅を2走にした。3年間、ほぼ毎日記録し続けてきた「陸上ノート」を参考にし、持ちタイムがいい鈴木、菅で先行逃げ切りのパターンをつくった。その作戦が、この日のレースで功を奏した。

 菅は「自分たちの走りを信じてやってきた結果ですね」と胸を張った。菅は実家のある静岡市から新幹線通学。滝井も約1時間半かけて学校に通った。全国の頂点に立つためには、苦労を惜しまずに練習に明け暮れた。滝井は「一番いいレースができました。みんなが1位でつないでくれたので、絶対に優勝しようと思った」。4人娘が心を1つにした勝利だった。【神谷亮磨】