<高校総体:陸上競技>◇5日◇岩手・北上市

 男子ハンマー投げで霞ケ浦(茨城)・根本太樹(3年)が大会新の65メートル66で初優勝を飾った。前日4日の予選で自らマークした大会記録を41センチ更新した。高校歴代2位につけ、04年アテネ五輪で金メダルに輝いた室伏広治(36=ミズノ)の後継者を目指す。

 伏兵の根本が頂点に立った。大会前まで自己ベスト61メートル89の男が、決勝で高校歴代2位となる65メートル66を記録した。電光掲示板に大会新が表示されても余裕の表情。「気持ちよく投げられた。記録は狙っていました。予選が良かったので、最初は力が入りすぎちゃって。うれしいです」。序盤の不調がうそのように誇らしげに左手を上げて歓声に応えた。

 決勝の1投目はまさかの55メートル台。2投目は無効と予選で大会新を記録しながら優勝を逃すピンチだった。昨年は力を出し切れず55メートル台で予選敗退の記憶がよぎったが、今年の根本は違った。気持ちを落ち着かせ、冷静に投てきのポイントを確認。3投目で63メートル台を出すと、緊張は一気にほぐれた。5投目に自ら予選で出した記録を41センチ更新、2日連続の大会新樹立の圧倒的な強さで大会を制した。

 自己ベストは昨年に比べ7メートル、7月の北関東大会から3メートル36センチと急成長を遂げている。昨秋からフォーム改造に取り組んだ成果が出た。日本選手権で10年連続で表彰台に上がっている土井宏昭(ITカンファー)から投げ方を教わったことがきっかけだった。「加速するポイントを教えてもらった。今まで力だけで投げていたけど、投げ方がスムーズになった」。186センチともともと身体能力に恵まれていた根本は別人に変わった。

 高校歴代記録1位の柏村亮太(倉吉北)にあと2メートル67センチと迫った。練習では68メートル台も出したことがあるという。根本は「これからの大会で1位を狙いたいですね」と新記録樹立を宣言。ハンマー投げ新王者が高校界のトップを意識し始めた。【豊本亘】