浅田真央(26=中京大)がふがいない結果に涙した。ショートプログラム(SP)で8位と出遅れ、巻き返しを狙ったフリーでもジャンプミスを連発し、100・10点、合計161・39点で9位に沈んだ。シニアデビューした05~06年シーズン以降自己最低の成績で、12月のGPファイナル進出を逃し「自信が全て失われた」と悲愴(ひそう)感を漂わせた。

 テレビのインタビューで「がんばります…」と口にすると浅田の目に涙があふれ出した。ティッシュを手に数分その涙を拭い続けた。銀メダルに悔し泣きしたバンクーバー五輪、母を亡くした1年後に優勝し感極まった12年のGPファイナル、達成感で涙したソチ五輪。公の場で涙を流すのは数えるほどしかない。その理由は「悔しさもある。あとはがっかりだったり、ふがいなさだったり、いろんなことです」。思いがあふれた。

 演技は精彩を欠いた。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は決めたが、予定していた連続3回転は、最初のフリップが2回転で単発に。その後もルッツ、サルコー、フリップがすべて2回転になった。「滑りもジャンプもすべてがしっくりいっていない感じ」と表情は暗かった。

 不調の理由は「いろいろなこと」が重なったから。昨季から抱える左膝痛は追い込んだときに出てくるもので、痛み止めを飲むほどではない。メンタルの問題もあった。今季初戦のフィンランディア杯までは「こんなものかな」と余裕があったが、6位に終わったスケートアメリカの後に「自信がすべて失われた」。そこから中2週で調子は上がらず、不安のまま今大会を迎えていた。

 12月末の全日本選手権まで約1カ月、日本でじっくり練習を積む。佐藤コーチは「また一からやるだけです」と神妙に話す。浅田は「自分に対して怒りや悔しさがある。自分で望んで復帰したので、もう1度その気持ちを奮い立たせてやりたい」と必死に前を向いた。【高場泉穂】