国際バスケットボール連盟(FIBA)が資格停止の制裁を下した日本協会の人事に介入することが27日、分かった。日本協会への通告文書に明記されているもので、今後はFIBAが立ち上げる第三者委員会(タスクフォース)がすべての権限を持つ。FIBAのパトリック・バウマン事務総長(47)はガバナンス(組織統治)を欠く現体制に強い不満を持っており、現理事の総辞職は避けられなくなった。

 FIBAの制裁は想像以上に厳しかった。日本バスケットボール協会へ資格停止処分から一夜明け、全容が明らかになった。通告文書には、FIBAが第三者委員会(日本2024バスケットボールタスクフォース=仮称)を立ち上げ、全ての権限を掌握するとある。人事を含めた日本協会の施策は白紙、中止に追い込まれる。

 FIBAの不信感は根強い。6年前から普及・強化の観点からトップリーグの併存に反対し「1国1リーグ」を求めてきたが、解決できなかった。FIBAへの回答期限の迫った先月下旬には日本協会の深津会長とNBLの丸尾会長(日本協会会長代行)が辞任。FIBAの通告文書には「両氏の辞任は、日本協会の統率力のなさの象徴」と実名を挙げて記された。

 バウマン事務総長は「一からスタートする時がきた」と、日本協会に解体的な出直しも迫る考えだ。日産自動車のゴーン社長、ローソン会長でサントリー社長に招へいされた新浪剛史氏のような外部からの改革者のトップ就任を希望。人事はFIBAの第三者委員会に一任されるだけに、現理事の総退陣は必至になる。

 この日、日本協会の丸尾会長代行が会見し「時間をかけず(来年の)リオデジャネイロ五輪予選までにはどんなことがあっても解決していきたい」とした。冒頭で選手、関係者に謝罪したものの、選手への直接謝罪については「機会があれば設定したい」と話すにとどめた。FIBAからの通告文書は一部のみを日本協会のウェブサイトに開示したが、第三者委員会に強い権限が与えられたことは明かさなかった。

 丸尾会長代行は今回の責任の取り方について「今は(制裁)解除に向けて努力すること」と辞任は否定した。すでに監督官庁の文科省も解決に乗り出している。本来、スポーツ団体は自治自立が使命。国と国際連盟からの介入は許されないが、今の日本協会に解決能力はない。

 ▼今後の流れ

 FIBAの通告文書から今後の動きが予想できる。近日中にFIBAの代表者が来日。第三者委員会のメンバーを選考し組織化する。第三者委員会の骨格ができた段階で日本協会は評議員会を開催。第三者委員会への権限移譲を承認する。NBLとTKbjリーグの統合、人事を含めたガバナンス強化などの諸問題は、第三者委員会で話し合っていく。

 FIBAが国内事情をすべて把握できているかどうかは疑問が残る。今月中旬から日本協会の監督官庁の文科省と上部団体の日本オリンピック委員会、日本体育協会と団体ボール競技の活性化を目指す組織の日本トップリーグ連携機構の幹部は問題解決に向けて定期的に会合を開く。FIBAは日本協会の上部団体と連携しながら、改革を進めることになりそうだ。