ソフトバンク下克上日本一は、工藤監督の「決断」がカギを握る-。日刊スポーツ評論家・浜名千広氏(48)は、広島との日本シリーズでは、DH制のない2戦目までのデスパイネの起用法がポイントとみる。内川、松田宣、グラシアルらから誰を選択し、どう打線を組むのか。広島打線では徹底した「菊池封じ」の必要性を説いた。【取材・構成=浦田由紀夫】

セ・リーグ3連覇して圧倒的な強さを誇った広島と、シーズン2位からの下克上を狙うソフトバンク。強力打線の西武を破って勝ち上がったソフトバンクの勢いは大きく影響しそうだ。

一番のポイントは、当然ながらデスパイネの起用方法。DH制のないマツダスタジアムからシリーズは始まる。果たしてスタメンは左翼手なのか一塁手なのか。守備を重視すればこれまで同様に「左翼手中村晃」「一塁手内川」だろうが、今クライマックスシリーズ(CS)のファーストからのデスパイネの好調ぶりをみると、ベンチでの控えはもったいない。

CSファイナルのMVPに輝いた4番柳田は、徹底マークに合うだろう。まともには勝負してこないかもしれない。やはり後ろを打つ5番打者が大事になる。中村晃、内川でも問題はないが、長打力を誇るデスパイネは5番打者にピッタリなのだ。多少、守備に目をつぶってもデスパイネは5番で使わないといけない。

3番を打ったグラシアルもいる。CSファイナルでは松田宣に代わって三塁に入った。一塁手、三塁手、左翼手にだれが入って、打順はどうなるのか。シーズン中は故障者が多く「不足の悩み」だったが、今は戦力が豊富になり「ぜいたくな悩み」になっている。選手の調子を見極め、相手との相性も考え、オーダーのバリエーションは増える。しかし逆にいえば「決断」が裏目に出ることもある。工藤監督のビジターでの打順の「決断」は今シリーズを占う。

広島は打線が良く、やはり1、2番打者が怖い。CSファイナルでは西武1番の秋山を封じた。クリーンアップが打っても最少得点だ。広島も同じで田中、菊池を抑えることが大事になる。特に菊池には仕事をさせないことだ。昨年CSで打てなかった男は今年は活躍できている。波に乗らせないことだ。

投手陣はCSファイナルで道筋はできた。あとは日替わりになるかもしれないスタメンが勝敗を握る。